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十九話 はこべら ページ19

「せっかくだからこのまま出かけちゃおうか」
「え、どこにですか」
「んー……浅草でも歩こうよ」
「今からですか?!地味に遠いですよ」
「大丈夫。僕が走れば早いよ」
「走…走る…?」

そういっていきなり私を抱き上げて、窓を開けて飛び降りた。
ここ最上階ですが?!

「はあああ?!!しぬしぬしぬ!!!」
「あはははっ、そう簡単に死なないよ」
「いやいやこれはしぬでしょこんな高さから落ちたら!!」
「でも死んでないよ?」
「た、たしかに…」

ぴょーんとビルとビルを軽々と飛び越えていく。完全に空中浮遊を楽しんでいる。
人外って本当すごい。夜のネオンを見下ろしながらお散歩とか、最初で最後の体験だ。

「そんなに下見てたら落っこちちゃうよー」

そういって椿さんは、手を離した。私は重力に逆らえず、ひゅうと下に落ちていく。

「ああああ!!?」

本気でしぬ!と思ったら、また椿さんがキャッチしてくれた。こんな嫌なキャッチアンドリリースある?!今度は落とされまいと首元にぎゅっとしがみつく。

「殺す気ですか?!」
「あははははっ!すんごい声出てたねえ!」
「私人間なんですからね?!死にますからね!!」

そのあともギャーギャー騒ぎながら、浅草までの空中遊泳を楽しんだ。

____

夜の浅草は相も変わらず人がひしめき合っているけど、オレンジ色の提灯が揺らめいて昼とは違う雰囲気だった。

「いつも通りの活気だね」
「夜の浅草は初めて来ました」
「あ、じゃあ離れないように手でも繋ぐ?」
「は?」
「ちょっと。そんな引いた顔しないでよ。」

ケラケラと笑う椿さん。でも確かにはぐれると大変そうという感じの人混みだ。

「僕お気に入りの場所があるんだよねーそこ行こうよ」

そう言って、先に進む椿さん。できる限り離れないように後ろに着く。

するとドンと誰かと肩がぶつかって、おっとっととよろけていると、椿さんの姿がすぐ遠くになってしまった。やばい!と思って、なんとか後ろを必死に追いかける。

せめて着物の裾でも!と思い、手を伸ばす。
するとぎゅっと手を繋がれる。

びっくりして顔を見上げると、椿さんが愉快そうに笑っていた。

拒否しといた手前でなんだか恥ずかしいけど、背に腹はかえられない。私もぎゅっと椿さんの手を握り返した。

やっぱり椿さんの手は、少し冷たかった。

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設定タグ:サーヴァンプ , 椿 , 憂鬱組   
作品ジャンル:アニメ
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南条(プロフ) - 彩弥 Ayamiさん» コメントありがとうございます!気に入って頂けて嬉しいです。更新頑張って行こうと思います〜! (2020年11月4日 23時) (レス) id: 97d2c6287f (このIDを非表示/違反報告)
彩弥 Ayami(プロフ) - コメント失礼します…。やっぱり椿は可愛くてかっこいいですよね…♪ニヤニヤしながら読ませていただきました(笑)更新楽しみにしてますね! (2020年10月31日 20時) (レス) id: ea9a1583d4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:南条 | 作成日時:2020年6月3日 11時

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