第40話 ページ44
ーAsideー
ブブブッ、ブブブッ
メールだ
今寝ようとしてたのに…真琴先輩かな?
「えーっと…あ、兄さんだ」
『明日家に帰るから。母さんと父さん、まだ帰って来てないんだろ』
そんな、たった二文のメールが送られて来た
……メール打つの面倒だから電話で
いいかな
プルルルッ
『もしもし』
「兄さん、明日帰ってくるの?」
『さっきメール送ったろ』
「うん、だけどメール打つの面倒臭くて…」
何でだろう
久し振りに聞いた、兄さんの声がいつもより嬉しく感じる
自然に笑顔になる
『俺もう寝るから…じゃあな』
「うん」
『おやすみ』
…最近、おやすみって言われてない気がする
じゃあ兄さんが久し振りなんだ
それだけで、嬉しい
トクン…
心のどこかが動いて、私に訴えかける
この感情は……………………恋だと
…認めちゃったら楽になれるの?
でも、私はどうすればいい?
優姫や、真琴先輩のこと
それに…それ以前に兄さんは私の家族でしょ
結婚も出来なければ、愛し合う事も許されない
…認めても、楽にはなれない
ー宗介sideー
「お前最近ちょっと変わったよな」
凛が言った
「はあ?」
「なんつーか………彼女でも出来たか?」
「…何でだ」
「何となく。つーか図星なら…Aには話したのかよ?」
「まず違えし、もし出来ても言うつもりは無え」
「ふーん?」
…彼女は当分出来ねえな、江野上の件も断るつもりだし
東京でも、告白とかしてくるヤツはいた
その中でも、何回かはOKを出して…世間でいう恋人同士になったこともあった
…けど、決まって長続きはしなかった
どいつもこいつも面倒臭え
手を繋ぎたいだとかキスしたいだとか…
俺は泳ぐ事に夢中で、そいつに構ってる暇は無かったから
だから別れようって言った
最高でも二ヶ月だな、続いたのは
「つか、今の電話の相手誰?」
「A」
……声的に何故かテンションが高かった
橘嬉しいことでもあったのか?
例えば橘と…
チク…ッ
「…?」
胸に、痛みが走る
物理的じゃなく、精神的な…
「何でだ…」
「どうした?宗介」
「…いや、何でも無え」
俺の好きな人…って、いるのか?
ふと頭に思い浮かんだのは、Aの顔で
自分でもびっくりするくらい、顔が赤くなった
……この感情は、知らない
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