第37話 ページ41
ー七菜香sideー
私の好きな人は、橘真琴先輩
出会ってすぐ、恋に落ちた
いわゆる一目惚れってやつ?
…真琴先輩に好かれる為に、為だけに私は色々な事をやって来た
けれど、中学の頃私には振り向いてくれなかった
真琴先輩を追いかけて、岩鳶高校に入ったのは良かったけど…
二年生に上がる頃には、真琴先輩はAと付き合ってた
ずっと好きなのに…抜かれた
確かにAは可愛くて綺麗で、勝ち目は無いって分かってた
私の一番は真琴先輩でも、真琴先輩の一番は私じゃない
…Aなんだ
「でもさ、叶わないって思ってても可能性はあるんじゃない?」
ヒメが言った
「可能性…」
「だって別れる事もあるかもしれないじゃん、ずっと好きなら気持ちは伝わるはず」
そう笑顔で言ってくれたのはA
「ありがと…」
ホントに、ホントに二人とも優しい
本心から口に出す事は難しいのにね
…でも、ごめんなさい
私はホントに喜べない
Aのその言葉も、疑ってしまう
恋敵だから…
…敵わないって分かってても、仕方ないじゃない?
「頑張ってね」
Aが箸を置いて、私に言った
「…………うん」
顔、引きつってないよね…?
ー優姫sideー
…私、知ってる
七菜香の好きな人…
一年生の時、こっそり教えてくれた事があった
それでさっき、五年も片想いって言ったから…
橘先輩、でしょ?
付き合ってる人がいて、橘先輩と七菜香、中学から一緒だから…
もちろんAはその事を知らない、はず
だから、あんな事が言えるんだ
私が七菜香の立場だったら、本当に嫌になる
Aに悪気は無い
けど……ちょっと、あれだよね
「…あったかくなってきたね」
食べ終わったAが、外を見ながら言う
「卒業式の頃には桜が咲くかも」
すごく、嬉しそうに言った
あとで七菜香と話をしよう
…もちろん、A抜きで
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36話と37話は文字数の都合で分けました
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