第34話 ページ37
「……そっか」
「話しやすいな、山崎」
…ハル、山崎くんもAも山崎って呼んでるからややこしそう
「そうだね、誰とでも話せるから」
空を見上げて、Aを見た
世良と、陸上の話とかしてるのかな
…気になるけど、気にしちゃ駄目だ
重いだろ?そんなの
ガチャッ
「江ちゃん」
「すみません、私が誘ったのに用事が長引いちゃって」
「いいよいいよ、そんなには長くなかったし」
もっと遅くなると思ってたから
「…あ、Aちゃん、あの…陸上部の…腕橈骨筋!と喋ってますね」
筋肉で人を覚えるの…←
「同じ部の先輩だからね、引き継ぎの話してるみたい」
「引き継ぎですか…そういう時期ですもんね」
「俺たちはもう終わったけどね」
夏に引退して、次の部長は怜になった
怜が一番相応しいと思って
本当に仲が良さそう
やっぱり、一年の時からの知り合いだからかな
…俺も、もう少し早く会いたかった
そして誰よりも早く好きになって、もっとたくさん…一緒にいたかった
そう思った瞬間、冬には珍しい生暖かい風が頬を撫でた
「…真琴、呼んでる」
ハルの声がした
けど、俺の目先はハルには行かなかった
真っ先に振り返ってAを見た
ほら、やっぱり
呼んでるのはAだった
「どうしたの?」
その隣に、もう世良はいなかった
「私、屋上ってあまり来ないから分からなかったんですけど…景色、すっごい綺麗ですね」
楽しそうに、嬉しそうに話す
「眺めが良いから…ハマっちゃいそう」
俺、Aのその瞳、久し振りに見た
輝いてて、すっごく綺麗だよ
…けど、俺はどうしても嫉妬してしまう
その瞳を、笑顔を世良にも見せたのかと思うと…
…………最低だよな、こんなの
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