第33話 ページ36
「…江、用事が出来たらしいです」
「あ、うん。さっき江ちゃんとすれ違った時聞いたよ、すぐ終わるって言ってたけど…」
ああそっか、そうだよね
出入口は一つしか無いんだから
「…ハルと会った事あるよね？」
「ありますよ、確か……去年の夏、泳いでるの見に来た時に…」
「ああ、そっか。じゃあ二回目だね」
「そうですね」
話しにくいわけじゃないんだけど…
「あ、ハル…またその弁当？」
「別に良いだろ、鯖は栄養たっぷりだ」
「全く…」
またって事は…いつもなの？
「鯖、好きなんですか？」
「ああ…」
「美味しいですよね、私も魚の中では一番かも」
塩焼きが一番好きかなぁ
味噌漬けも良いけど…
「おすすめの調理法とかあります？」
真琴先輩に、七瀬先輩は料理が上手って聞いた事がある
「最近だと鯖ップルだな」←
「鯖…ップル？」
なにその怪しい名前…←
「あれ美味しくなかっただろ！？」
真琴先輩、食べた事あるの？！
「あの味がクセになるんだ…っ」←
だから鯖ップルてなに！←
「えーと…あのね、鯖ップルっていうのはパイナップルの上に鯖が乗ってる料理？の事で…」
ああ、それは嫌な予感しかしない←
「大変ですね…」
だってどう考えても美味しくなさ…
「…A？珍しいな、屋上にいるの」
「世良先輩…？」
「ああ、邪魔したか」
チラリと真琴先輩を見てそう言った
「別にっ、邪魔って事は…無い…ですけど」
「そうか。…あ、そういえばA」
「なんですか？」
「ちょっと引き継ぎの件で…」
ああ、今度の日曜だもん、引き継ぎ
正式に部長として、陸上部を引っ張って行く為に
ー数分後ー
ー真琴sideー
「いいのか、他のヤツといても」
弁当を食べ終わったハルが言う
「…もう片想いじゃないし、ヤキモチなんて妬かないよ」
そう強がってみた
…けど、そんなのもハルにはバレてるんだろうな
Aの事で、最初に相談を受けてもらったのはハルだった
Aと会う時に、何度かハルが隣にいたから
…俺すぐ顔に出るタイプだからハル
も気付いてたんだと思う
「ハル、一回しか会った事無かったのに結構喋ってたよね」
俺が屋上に来た時だんまりかなって予想して入ったら結構話してたから
「…真琴と一緒にいる時とか、Aと何度か会った事あるだろ…そのせいだ」
_
33話と34話は元々1話分だったのですが、長くなってしまったので分けました
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