第32話 ページ35
違うでしょ。勘違いだよ、きっと
兄さんは好きだけど、そういう好きじゃない
その…Loveと、Likeみたいな?
…なのに、心臓がバクバク言ってる
鼓動が速い
やっぱり私……?
「Aー」
そんな時に聞こえた、私の名を呼ぶ声
真琴先輩だ…
「っと、何ですか?」
「そんな焦らなくても良いよ、ちょっと伝言頼まれただけ」
焦ってないけど…気付かなかっただけで駆け足だったのかな
「江ちゃんが、お昼一緒に食べようって」
「江が、ですか?」
同じ二年なんだから真琴先輩の教室より近いのに…
「うん。今忙しくて行けなかったみたいだから俺が代わりに来たんだ」
「なるほど、分かりました」
ほら…やっぱり、私は真琴先輩の事が好き、でしょ?
付き合ってるんだし、恋人なんだから…
そもそも実の兄を好き、なんてあり得ない
そんな事、あるわけない…
ー真琴sideー
「あ、次の時間何?」
朝は暇だから、Aと話してた方が楽しい
…江ちゃんに頼まれた時は、すごいグッジョブ!って思った←
「わぁ、橘先輩と山崎さん話してる」
「良いよねぇ、高身長&美男美女カップル」
そんなヒソヒソ声が聞こえる
ちょっと照れるけど、陰口よりは幾分もマシ
ほんと、今でも不思議だよ
Aと付き合えるなんて、思っても無かったから
「次の時間ですか?数学です」
「数学かー、国語なら得意なんだけどなぁ」
「私は数学得意だから…問題無いです」
「そっか」
こんなたわいのない会話が出来るのも、いつまでだろう
卒業式は泣くかな…泣くだろうな
悲しくないはずなのに、込み上げてくる
中学の時がそうだったから
「…じゃあ、そろそろ行くね」
「はい、また帰り」
約束しなくても、約束されてる
俺が、卒業するまで帰りは絶対一緒って決まってるから
ー昼休み・屋上ー
ーAsideー
「江ー」
弁当を持って、江が座ってる所まで行った
「Aちゃん!」
…っと、あれ?
「七瀬…先輩?」
何でいるんだろう?
「あのね、ちょっと私…用事ができたから…もう少ししたら真琴先輩も来ると思うんだけど…」
つまり、七瀬先輩と二人でいろと…
はー…別に嫌いってわけじゃないんだけど、慣れてないから、苦手って言うか…
「じゃ、行ってくるね」
少し駆け足で、江が去って行く
48人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ