第22話 ページ25
「…何ヶ月ですか？」
Aが妊婦さんに聞いた
「八ヶ月ですよ」
「そうなんですか…もう結構大きいんですね」
そんな会話を交わしてる
「そちらの方…彼氏さん？」
妊婦さんがAに尋ねた
「あっ、はい」
慌てて俺が返事をした
「ふふっ、気持ちが良いわ」
そう言ってにっこり笑ってくれた
「次はー…」
車内アナウンスが鳴る
「あ、私たちもう降りますね…」
「ええ…ありがとう…御幸せに」
少しお辞儀して、手を振る妊婦さんを一度見て電車から降りた
「…良い人でしたね、赤ちゃん、ちゃんと産まれると良いですけど…」
「そうだね」
元気そうだったから大丈夫だよ
「えーっと………あ、あそこです」
少し先の店を指して俺に言った
「うん…」
まだ十一時前か…結構近かったのかな
ガチャ
「いらっしゃいませー」
ー数十分後ー
ーAsideー
「…そろそろ始めましょう」
「そうだね」
真琴先輩が参考書、ノート、そして筆箱を出した
カチャ…
「え…？」
「ん？どうしたの」
「真琴先輩こそ…眼鏡…」
家ではかけてるのかな
初めて見たけど…
なんか、新鮮な感じ
っていうか眼鏡似合う！←
「知らなかったっけ？俺、目が悪いから、授業と勉強中はかけるんだ」
「そうですか…」
まともに見れない…
慣れてないし…かっこいい
「最近、ゲームのし過ぎでまた目が悪くなったかも」
「ゲーム…するんですか」
「うん、ハルと一緒にする事が多いけど…Aはしないかな」
「そんな事ないですよ、私だってゲームくらいします」
…兄さんとちょっとやった位だけど
しかも下手くそだったし…
「そっか、でもA目が良いよね」
「はい！ずっと2.0ですよ」
「良いなあ」
私の自慢の一つだしね！
でも、眼鏡かけるのも良いよね
「あ、真琴先輩、そこ違います」
自分の筆箱からシャーペンを取って式を説明する
数学は得意だから楽しい
「これ赤点取ったらヤバいヤツですよね…入試でも多分出てきますよ」
「…詳しいね」
「兄さんが参考書持ってました」
一昨日の事だから覚えてる
「東京の大学…行くんですよね」
「うん？そうだよ」
遠距離…になるのかな
そんな頻繁に会いたいってわけじゃないけど…
遠いよなぁ、ここから東京は
岩鳶も都会じゃないし…
「Aとも、中々会えなくなるね」
悲しそうな顔をして言う真琴先輩
……それは、本心ですか？
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