新たな出会い ページ2
今日は八重堂の新刊発売日だ。
今の社奉行は忙しい時期であるもののふぶきはものすごい勢いで与えられた仕事を終わらせ、トーマに声をかけた。
「ねえトーマ。すぐに戻ってくるから八重堂に行ってきてもいいかしら?今日言われた分の書類は片付いているわ」
「はい、大丈夫ですよ。もうあの量の書類を片付けたんですか?さすがですね」
トーマは「結構量あったのに…」と目を丸くする。
「ふふっありがとう。書類仕事は得意なの」
ふぶきは得意げに笑うと財布を手に取った。
「それじゃあ行ってくるわ」
「はい、気をつけて行ってきてください」
トーマに見送られてふぶきは神里屋敷を後にした。
神里屋敷から八重堂まではそこそこの距離がある。
城下町に入ったあたりで色んな人の噂話がふぶきの耳に入ってきた。
「ねえ知ってる?社奉行様が婚約されたらしいわ」
「聞いたわ!なんでも志倉家のお嬢様だとか」
(これって…私の話じゃない!)
ふぶきは焦って顔を見られないように下を向き聞き耳を立てる。
「でも志倉家のお嬢様って顔を見た事ある?」
「私はないけど今まで色んな家からの縁談を断ってきたあの社奉行様のお相手だからきっととんでもない美人よ」
「そうよね!それにそれに、噂では恋愛結婚なんじゃないかって言われてるらしいわ!あ〜お顔を見れる日が楽しみだわ〜」
チラッと横目で話し声が聞こえる方をみるとうっとりしてその"とんでもない美人"を想像しているようだった。
(しかもなんか凄い期待されてる!?)
ふぶきはいずれ婚約が公にされ時のことを想像し頭を抱えた。
綾人はまだ婚約を公にはしていない。
たがふぶきが神里屋敷に引っ越す際に巷で話題になっていた為、噂が拡がってしまったようだ。
ふぶきはこの噂が無くなるまで私が婚約者だとバレたくないなあと思いながら足早に八重堂へ向かう。
八重堂へ着くと、見慣れたお姿が見えた。
「八重様!こんにちは」
「ふぶきか。今月はふぶきの好きな作家の新刊が出ておるぞ」
毎月ここで会う、八重だ。
新刊発売日は何故かいつもいる。
「本当ですか?結構新刊出るの久しぶりですよね」
「いい案が出ないだのほざいておったからの。それにしてもふぶき、神里の若造と婚約したという噂は本当か?」
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お気に入り登録30人越えありがとうございます…!
明日の予告番組で稲妻のイベントが来そうで嬉しいです。
綾人さんに休暇を。
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作者名:椿 | 作成日時:2023年12月5日 19時