其ノ参 ページ5
刀に氷元素を纏わせ、一刀に集中して刀を振る。
私が見惚れたお母様の振る刀を思い出しながら。
「うん、上出来ね」
最後の1匹を倒し呟く。
かなり上手く戦えたんじゃないかと思い心の中でガッツポーズをする。
「大丈夫?みんな怪我は無い?」
「うん!大丈夫!ありがとう!」
子供たちの方へ急いで駆け寄るとどこからか視線を感じた。
視線を感じた方をみると1人の男の人がこちらを見ていた。
「…社奉行様?」
その声が聞こえたのか、社奉行様はハッとして咄嗟に微笑んだ。
「おや、すみません。随分と美しい剣術でしたので」
美しい剣術………褒められた?
「いえそんな…!身に余るお言葉です…!」
剣術を褒められたのは嬉しかったが、つい謙遜してしまう。
「ねえねえしゃぶぎょーさまってだれ?」
子供たちが私の裾を引っ張りながら聞いてくる。
「社奉行様はね、将軍様に仕えていて、とっても偉い人なのよ」
しゃがんで子供たちと目線を合わせて簡単に説明すると社奉行様が苦笑いをした。
「おやおやそんなに持ち上げられてしまうと困りますねえ」
「へえー!お兄ちゃん、偉い人なんだ!」
「偉い人ってことはお金持ち?」
子供たちが社奉行様にワイワイと群がる。
「ちょ、ちょっと!失礼なことは言っちゃ駄目よ?」
私が焦って子供たちを離そうとすると社奉行様に止められた。
「大丈夫ですよ。子供ですから。好奇心旺盛なのはいいことです」
「…尊大なお言葉、感謝致します」
「貴方も、そこまで畏まる必要はありませんよ。私は今息抜きとしてここに来ているのです。そんなに気を遣われては息抜きになりません」
そう言って優しく微笑む。
「あっありがとうございます…」
畏まるなと言われても私は社奉行様と同い年。
歳の近い友達なんていないからどう接していいか分からないのだ。
「ねえねえしゃぶぎょーのお兄ちゃん、僕と虫相撲しようよ!」
子供たちがそんなことを言い始めた。
「いいですよ。私もよく虫相撲をやりますので」
社奉行様はお忙しいのだからそんな時間は無いだろうと思ったのに快く快諾してくれた。
「ですが私のオニカブトムシは今屋敷にいます。すぐ近くですので私の家でやりましょうか」
社奉行様の提案に子供たちも賛成したので私が反対できるはずもなく私たちは神里屋敷に行くことになった。
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椿(プロフ) - ありがとうございます〜!更新頑張ります! (8月6日 14時) (レス) id: bc50e09104 (このIDを非表示/違反報告)
夜空ゆーたお(プロフ) - 続き楽しみです! (8月5日 1時) (レス) @page20 id: 9a1d60d013 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:椿 | 作成日時:2023年7月16日 19時