その雪寄草に、口付けを。 / 神里綾人 (ページ4)

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其ノ弐ページ4

朝餉を食べ終わるとお父様が長女の私に仕事を用意しているのでそれをやるのが日課だ。

仕事といっても雑用しかないけど。

いつもこの仕事を午前中に終わらせられたら午後は自由時間になる。

私はいつもこの午後の自由時間に城下町に暮らす子供たちと遊んでいるのだ。

城下町の子供たちとは少し前にたまたま魔物に襲われている所を助けてから一緒に遊ぶようになった。

みんなヤンチャですぐに城下町を出て遊びたがるのだ。

集中して仕事を片付けるともうお昼だった。

使用人が用意してくれていた昼餉を食べて城下町を出る。

歩いているとどこからか声が聞こえた。

「あー！Aねえちゃーん！！！！」

「おーーーい！！！！」

いつも遊んでいる子達がぴょんぴょん跳ねながら手を振っていた。

私も少し笑って手を振り返す。

「みんなこんにちは。今日は何して遊ぶのかしら？」

「えーとね、今日はねえ、オニカブトムシ探し！！」

ビシッと木を指差し笑顔で言う。

「オニカブトムシ？虫相撲するの？」

首を傾げるとみんながコクコク頷く。

「分かったわ。でもどこにいるか分からないから案内してもらえる？」

「任せて！！僕知ってるから！！！」

子供たちに手を引かれて私たちはオニカブトムシ探しを始めた。

「思ったより捕まえるのは簡単なのね」

あれから色んな木を回り、みんなそれぞれオニカブトムシを手にした。

「でもね、おっきいオニカブトムシじゃないと虫相撲で勝てないんだよ！！」

鬼のお兄ちゃんはこーんなおっきいの持ってるんだよ！と手で大きさを説明してくれる。

「そんなにおっきいオニカブトムシがいるの？凄いのね」

鬼のお兄ちゃん…荒瀧派の親分のことかしら。

そんなことを考えていると子供たちの悲鳴が聞こえた。

「きゃあああああ！！！！」

「A姉ちゃん助けて！！！！！」

子供たちが私の方へ走ってくる。

子供たちが来た方向に目を向けると魔物が数体いた。

何故こんな所に魔物が？

ここら一帯の魔物は朝倒したはずよ。

見逃し？そんなはずは…。

私に泣きながら縋り付く子供たちをみて気持ちを切り替える。

「ほーら大丈夫よ？私を誰だと思ってるの。私に任せて」

頭に手を置いてにっこり笑うと刀を抜く。

「でもここから動いちゃ駄目よ、私の後ろに隠れていてね」