其ノ弐拾陸 ページ28
あの後お医者様に家に帰る許可を貰って家に帰った。
私がファデュイに捕まっていた時間はそんなに長くなかったらしいけれど帰ってからみんなにとっても心配された。
なんか最近心配かけてばかりで申し訳ないなあ…。
そうだ明日神里様が来ることをお父様に伝えておかなくちゃ。
…今お父様に会うのは少し億劫だけど。
そういえば何で神里様は助けに来てくれたんだろう。
忙しい神里様がどうやって私が捕まったことを知れたのか。
明日聞けるかなあと思いながらお父様の部屋へ向かう。
「Aです。お伝えしたいことがございます」
ノックをして襖へ向けて声をかける。
「…入れ」
許可を得て、正座をして襖を開ける。
「先程の、神里様との婚約の件です。明日、神里様が詳しいお話をしにいらっしゃるそうです」
「…そうか」
今の考えとか少しくらい聞けるか期待していたけれどそれは望めなそうだ。
「それでは失礼します」
頭を下げてから部屋を出て襖を閉める。
明日が来れば神里様との婚約話が本格的に進む。
今までずっと友人だったのに明日から婚約者になる。
自分の事ながら展開が急だよなあと苦笑いする。
そもそも神里様が好きだと自覚してなかったわけだし。
私の人生が今まで恋愛という言葉に無縁過ぎて恋をしてるだなんて考えに至らなかっただけだけれど我ながら鈍感すぎる。
神里様はいつから私を好きだと思ってくれていたのだろう。
本人に聞くのは少し恥ずかしいなあ…。
婚約が正式に決まったらまず八重宮司様に伝えに行こう。
前は恋仲を否定してはっきり友人だと言ったのに次会った時には婚約していたら八重宮司様は一体どんな反応をするのかしら。
そんなことを考えて口元が緩む。
色んなことを考えているうちに世の中の人や娯楽小説の登場人物が恋愛をしたがる理由が、少し分かった気がした。
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椿(プロフ) - ありがとうございます〜!更新頑張ります! (8月6日 14時) (レス) id: bc50e09104 (このIDを非表示/違反報告)
夜空ゆーたお(プロフ) - 続き楽しみです! (8月5日 1時) (レス) @page20 id: 9a1d60d013 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:椿 | 作成日時:2023年7月16日 19時