其ノ弐拾弐 ページ24
「ん…」
目を開けると見たことの無い天井があった。
「目が覚めましたか!良かった!」
金髪の男性が明るい笑顔で言う。
そうだ神里様に助けて貰ったのだった。
「今若を呼んできますね!」
そう言うと金髪の男性は私が話す間もなく部屋を出て行ってしまった。
よいしょ、と体を起こすと肩が少し痛んだ。
「Aさん。目が覚めて良かった。もう起きて大丈夫ですか?」
部屋に来て神里様は安心したように微笑んだ。
「はい、大丈夫です。助けていただいてありがとうございました。それと、先日は失礼なことを言ってしまい、すみませんでした。」
ぺこりと頭を下げる。
「謝らないでください、気にしていないので。友人を助けるのは当然のことですよ」
そう言うと神里様は私の布団の隣に座った。
「ですがこれだけ聞いてもいいですか?」
神里様は真剣な表情で私を見つめてくる。
「何故、私に会ってはいけなかったんですか?それと、あの日の頬の痣。勿論、言いたくなければ言いたくないと言ってくれればいいです」
神里様に話したくない訳では無い。
けれど、神里様は縁談を断ると言っていたから妹と婚約する人仲良く出来ないということは理由にならない。
まあ、はやく縁談を断ってくれていたら私はこんなこと言われていなかったんだけれど。
何でまだ断らないんだろう。
そんな疑問が頭に浮かび、別に隠すことでもないかと思い口を開く。
「…頬はお父様に叩かれました。冷やすのを忘れたので治りが遅かっただけです。妹と縁談がある男の人と2人で会うなんてと怒られたので」
「すみません。私が縁談を断るのが遅くなったばかりに」
申し訳なさそうな表情を浮かべる神里様をみて焦って否定する
「そんな!神里様は悪くありません!」
神里様は肩の痛みを少し感じながら両手をブンブン振る私を見て少し困ったような笑みを浮かべて言った。
「でもAさんが行方不明になった連絡をした時に同時に断りの連絡を入れたので安心してください」
遂に断りの連絡をしたのね、そして私のことも伝えた…。
「そう、ですか。お父様はなんて?」
「志倉様からの返事は貰っていません。あの時は返事を待つ暇もなかったので。ですがもうこれで会って咎められることもありませんよね、仲直りです」
にっこり笑って言う神里様をみて私も笑みがこぼれた。
「はい、仲直りですね」
2人で笑いあっていると襖の奥から大きい足音が聞こえてきた。
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椿(プロフ) - ありがとうございます〜!更新頑張ります! (8月6日 14時) (レス) id: bc50e09104 (このIDを非表示/違反報告)
夜空ゆーたお(プロフ) - 続き楽しみです! (8月5日 1時) (レス) @page20 id: 9a1d60d013 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:椿 | 作成日時:2023年7月16日 19時