其ノ拾漆 ページ19
「や、やらかしたわ……」
私は朝起きてすぐ鏡の前で絶望していた。
昨日お父様にぶたれたあと冷やすのを忘れたまま寝てしまったから頬に大きいな青あざが出来てしまっていたのだ。
せっかく氷元素の神の目を持っているのだから簡単に冷やせたというのに…。
すぐ冷やさなかったからきっとこの青あざは長引くだろう。
しょんぼり俯いてどうやって隠そう、と頭を悩ませる。
「…あ、子供たちの所へ行けないんだっけ」
そうだ今日は外に出る用事は特にないし別に隠す必要ないじゃない。
屋敷にいる人に隠す必要はないし。
お父様のこういうことは今に始まったことじゃないもの。
まあ実際に手を出されたことは今まで1度も無かったけれど。
私は気持ちを切り替えてランニングへ向かった。
子供たちと遊ぶのを辞め、神里様に会わなくなってから早1週間が経過していた。
案の定冷やすのを忘れた青あざは長引いていて未だに治っていない。
露や使用人に気づかれた時にはものすごい勢いで頬を氷で冷やされたけれどもうあまり効果はなさそうだった。
みんな沢山心配してくれて私は愛されてるなあって思った。
お父様は私のことをあまり愛してくれていないように感じるけれど私にも愛情を注いでくれる人がいるから恵まれてるなと思う。
だからこそ今の環境を辛いなんて思ってはいけないのに。
…もう1週間も経ったのにいまいち気分が重い。
でも今日は待ちに待った八重堂の新刊発売日。
少し気持ちが沈んでいても娯楽小説を読めば忘れられるはず。
いつも通り午前中に仕事を片付けて午後1番に八重堂へ向かう。
「お〜これ新刊出てるじゃない!あ、何かしらこれ新しいシリーズ?」
大量の新刊に思わず頬が緩む。
目を輝かせてどれを買おうか悩んでいると少し懐かしい声が聞こえてきた。
「やはり今日はここに来るんですね」
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1つこの先の為の補足をしておきますが、Aと露はあまり歳は離れていません。
神里兄弟の年齢が公表されていないのではっきりとした年齢は設定していませんが、綾人とAが同い年でその少し下が露、その下が綾華というイメージです。
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椿(プロフ) - ありがとうございます〜!更新頑張ります! (8月6日 14時) (レス) id: bc50e09104 (このIDを非表示/違反報告)
夜空ゆーたお(プロフ) - 続き楽しみです! (8月5日 1時) (レス) @page20 id: 9a1d60d013 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:椿 | 作成日時:2023年7月16日 19時