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笑顔のマジック ページ10

「こ、恋煩いなんて、そんな!私、好きな人なんていない……」

「しらじらしい嘘をつきますね。私は怪盗、貴方の心が誰かに盗まれていることくらいわかりますよ。」


そう。確かに私は気づかないフリを続けていた。気づいてしまえば、彼にも迷惑がかかることくらいわかっていたから。私の歯止めが効かなくなることが、わかっていたから。

「……私が釣り合わないのも、足手まといになってしまうのもわかってる。わかってるけど……」

「気持ちを止められないのでしょう?それならその気持ち、伝えるべきです。貴方の言葉で。」

キッドは全てをわかったような顔でこっちを見ていた。少し腹が立つくらい。

「ちゃんと断られた方がいいってことも、わかってますから。」

私のことだ。どうせ、ちゃんと伝えないといつまでもズルズル思いを引きずってしまうことくらい、目に見えている。期待して、信じて、勝手に悲しくなって。相手へ思いを断ち切るのは苦手だとわかっているからこそ、しっかり区切りはつけなきゃいけない。

「……もう、帰してください。貴方のお陰で嫌でも気持ちの整理がつきましたから。」

「Aさん、貴方はとても強い方ですね。……いや、恋が貴方を強くさせるのでしょうか。」

人ごとのはずなのに、なぜか嬉しそうなキッドはふわりと空を一回転したかと思えば、マンションの屋上に着地した。



「ではAお嬢様、次にお会いする時を楽しみにしています。あわよくば、失われし宝石を貴方の眩しい笑顔と共に見られたならと思っておりますよ。」

「……最後までキザですね。でも、ありがとう。今度会ったら、絶対に捕まえます。」

「それは随分と情熱的なお申し出ですね。」

困ったように笑って、ふわっとマントから私の靴を出したかと思えば、ごきげんようと呟いて夜の空へ消えていった。



正直、「なんだったの?」と思ったけど、彼が帰った頃には赤井のことはそこまでトラウマにはなっていなくて。自然と笑顔になっていたことに気づいた。

彼は笑顔を操るマジシャンなんだね、なんて一人で部屋で呟いて恥ずかしくなったのは絶対誰にも言わない。きっと彼のキザさが移ったんだ。思い返せば思い返すほど恥ずかしすぎる……。

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うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています この作品はもう更新されないのでしょうか? (2023年4月27日 22時) (レス) id: de2c41cb59 (このIDを非表示/違反報告)
天然石 - 続き書いて (2021年11月11日 19時) (レス) @page30 id: 9e1c69280d (このIDを非表示/違反報告)
焼きプリン - とても面白くて今日一気見しました!!!続きがとても気になります!楽しみにしてます。頑張ってください! (2021年3月25日 20時) (レス) id: ecb566eb91 (このIDを非表示/違反報告)
す だ(プロフ) - 頑張ってください!たのしみにしてます (2020年7月14日 2時) (レス) id: ebbf33f874 (このIDを非表示/違反報告)
月乃(プロフ) - 花束さん» ありがとうございます!そう言っていただけると励みになります!頑張ります! (2020年4月24日 12時) (レス) id: 34cc67c93b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月乃 | 作成日時:2019年10月6日 18時

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