煮え切らないまま ページ14
「でも、本当にいいのか?今日は君の好きなものをご馳走するつもりだったんだ。遠慮する必要はないからな。」
仕事をどうにか片付け、暗くなり始めた頃。現在私は降谷さんの車に乗っていた。本来なら別の仕事を回され帰れない予定だったのに、風見さんが気を使ってあれ以上の仕事は回さないでくれたのだ。
「い、いえ!遠慮とかじゃなくて、私が降谷さんの手料理を食べたいんです。」
今日が最後になるかもしれないから、なんて心の中で呟いた。というのも、ついに今日彼に告白をしようと決意を固めたのだ。ここまで約1週間、悩みに悩んで決めたことだ。断られるのはわかった上でだけど、私が前に進むためにはきっとこれが必要なんだと思うから。
「鳴海、これ運んでもらってもいいか?」
「あ、はい!……わー、凄く美味しそう!親子丼ですか?」
「ああ。君が前にポアロで話していたのを思い出したんだ。」
……ん?ポアロで……って、もしかしてこの前の蘭ちゃん達と雑談のことだろうか。私も忘れていたのに、よく覚えてるなぁ。あ、私が間違って情報漏らさないか見張られてただけか。
二人とも座ったところで、手を合わせた。降谷さんが手をつけたのを確認したところで、私も一口手をつける。
「……美味しい!卵ふわふわだし、味付けも凄い好きですこれ!」
「ハハッ、これほど作り甲斐がある相手、なかなかいないよ。」
「あ、それ、前も言ってましたけど、私、そんなにわかりやすい顔してますかね?美味しいのは確かなんですけど……。」
すると、降谷さんはまた笑みをこぼして、
「君はそのままでいいよ。その方が、僕は楽しい。」
降谷さんが笑顔なのは結構だが、それって……
「ばっ、バカにしてますよね!また子供っぽいとか思ってるんですか!」
「……まあ本当に僕はいいと思うぞ、可愛らしいじゃないか。」
降谷さんはポンと私の頭に手を置いて、優しく笑った。いや待って!いくらこの前ちゃんとするって言ったけど、いきなりこれはハードル高すぎでは!?
「あっ、や、ちょっ……」
「これくらいで照れているようじゃ、まだまだだな。」
と言いつつも、降谷さんは今日は上機嫌なのか、にこにことこっちを見てきた。そんな降谷さんの笑顔を見ているのは少し怖くて、キョロキョロしながら食べていた。私の一言で、この笑顔を消してしまうかもしれない。私にこの笑顔が向けられることはなくなるかもしれないと思うと、どうしても彼の顔は見れなかったのだ。
1303人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています この作品はもう更新されないのでしょうか? (2023年4月27日 22時) (レス) id: de2c41cb59 (このIDを非表示/違反報告)
天然石 - 続き書いて (2021年11月11日 19時) (レス) @page30 id: 9e1c69280d (このIDを非表示/違反報告)
焼きプリン - とても面白くて今日一気見しました!!!続きがとても気になります!楽しみにしてます。頑張ってください! (2021年3月25日 20時) (レス) id: ecb566eb91 (このIDを非表示/違反報告)
す だ(プロフ) - 頑張ってください!たのしみにしてます (2020年7月14日 2時) (レス) id: ebbf33f874 (このIDを非表示/違反報告)
月乃(プロフ) - 花束さん» ありがとうございます!そう言っていただけると励みになります!頑張ります! (2020年4月24日 12時) (レス) id: 34cc67c93b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:月乃 | 作成日時:2019年10月6日 18時