・コスモス畑 ページ10
【A】
水仙の花畑を離れて次に来たのは、有名だと言われているコスモス畑だった。
Aの胸の高さまであるコスモスが丘一面に広がっている。
コスモスのピンクと、空の青のコントラストが本当に綺麗だ。
二人は花の間に作られている、小さな道からコスモスの中に入って行った。
狭い道の中、ジョンハンと手が当たって、そのまま手が繋がれる。
はっとして顔を上げると、目が合って、微笑まれる。
JH「何気、手繋ぐの初めてじゃない？」
「うん」
Aはコクンと頷いた。
確かにそうだ。
外でのデートも初めてだし、人にみられるところでは繋ぐことは避けてきた。
今はコスモスの中に隠れて周りからは見えないだろう。
指を絡ませて、「恋人繋ぎ」なんて笑うから、また胸がいっぱいで苦しい。
手を引かれるままにコスモスの間を縫っていく。
ジョンハンの手、おっきくて骨張ってるな。
肌はサラサラだな。なんて、変態みたいかな。
前を歩くジョンハンがキラキラ輝いて見える。
こんな輝いて見える人あったことないよ。
好きだよ。
あまりうまく伝えられないけど、大好きだよ。
「好き…」
無意識に微かな声で呟いていた。
JH「どした？歩くの早かった？」
ジョンハンが足を止めて、振り向いた。
聞こえると思っていなくて驚く。
「違う、違くて…」
思ってることはたくさんあるのに、あの、とかえっと、しか出てこない。
JH「ゆっくりで大丈夫だから。いくらでも待つし」
ん？ とコテンと首を傾げる姿にまた目を逸らしそうになる。
でも伝えたいんだ。
「あの、あのね、ジョンハンと一緒にいると、、安心するのに落ち着かなくて、」
心の内をさらけ出すのってこんな恥ずかしいのか。
いいや、この際全部話してしまおう。
「ジョンハンが笑った時も、目が合う時も、手を繋いだ時も、胸がギュッとするの。
ジョンハンが…」
息を大きく吸い込んで、その言葉を言う。
「好き…、だから」
ジョンハンは何も言わずじっとAを見つめていた。
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作者名：tanaka | 作成日時：2022年11月5日 2時
