・サプライズ ページ25
【JH】
11月下旬、オレンジや黄色に染まった葉を横目に、ジョンハンはAの家へと足を進めていた。
もうAの家までのルートは完璧で、近所のパン屋やコンビニの位置も把握している。
ドアの前に着き、インターホンを押した。そこまではいつも通りだった。
「開いてるー」
インターホン越しに聞こえたのはそんな言葉だった。
鍵を閉めないなんて不用心だな…、女性の一人暮らしだっていうのに。
ジョンハンは眉間にシワを少し寄せて、ドアノブに手をかけた。
え…
中に入ると真っ暗だった。
一気に不安な気持ちが押し寄せてくる。
Aに何かあったのだろうか。
さっきインターホンから聞こえた声はいつも通りに聞こえたのだが。
JH「...A?」
ジョンハンは恐る恐る靴を脱ぎ、リビングの方へと進んだ。
淡い光がリビングから漏れている。
JH「わ…!」
その光はケーキに立てられたロウソクだった。
ケーキにはHAPPY BIRTHDAY JEONGHANの文字が書かれている。
JH「Aー!どこにいるのー!」
今すぐ目の前でありがとうと言いたいのに彼女は出てこない。
ケーキにもう一度目を向けると、机に置かれたメモ用紙を見つけた。
”ロウソクを吹いて”
ジョンハンはつけていたマスクを外し、ロウソクを吹いた。
それと共に、部屋の電気がつけられ、パーンッという破裂音と共に色とりどりのリボンが降ってきた。
「誕生日おめでとー!」
ソファーの後ろからAが出てきた。
JH「えー!ありがとうー!」
「びっくりした?」
Aはジョンハンの方に近づいてニコニコで聞いてくる。
JH「うん。部屋に入ったら真っ暗だからなんかあったのかと思った」
ジョンハンの反応を見てニコニコ顔で笑うA。
かわいいな...今日は愛嬌いっぱいの名前みたいだ。
普段クールな印象で、はしゃいだりするところはイメージしにくいが、Aはたまにいたずらっ子のような面を見せる。
「プレゼントがあります」
JH「え、プレゼントも?」
「もちろん。一つ目はケーキ。2つ目は、今から持ってくる」
JH「え、何個あるわけ?」
「4つ」
サラッと告げられた数に驚く。
JH「そんなに!?この前コラージュくれたじゃん!」
「直接祝いたかったから。」
そう言って優しく微笑むA。
えー…そんなの嬉しすぎるよ
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作者名:tanaka | 作成日時:2022年11月5日 2時