空白の2年間 (ページ3)

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聡side ページ3

「行ってきまーす、」

家には誰もいないけど、まあいっかなんて本音を紛らわして僕は今日も家を出る。

今日から新しい生活、楽しみな気持ちと不安な気持ちを交互に浮かばせながらも細い道を1人で歩いて、学校まで向かう。

みんなお家の人と来てるのに、僕は1人。
寂しくなんか無いよ、ずっとそうだったから。

そんな憂鬱な気分になりかけた僕の目の前に一輪の花が咲く。

「かわいい … . 」

思わず言葉にしてしまうくらいの綺麗な花。
花より、華の方が正しいのかも。

大きな桜の木の下で頬を赤らめながらもお兄さんに華をつけてもらう彼女は背が小さくて華奢なのにどこが明るくて、オーラはきっとオレンジだと思う。

なんて感じのすごく優しい笑顔の女の子。

なんだか胸の奥がズキズキする。変な感じ。

あの子何組だろう、なんて思いながらも体育館に足を踏み入れ指定された座席に座る。

「完全に見失ったわ… 」

溜め息を吐きながらうつむけば肩を叩かれる、そこには僕と同じくらいの身長の男の子が立っていた。

「よろしくな。」
「うん、よろしく。」

小さく会釈を交わせば彼は隣にどすん、と大きく座る。

なんだか怖そうだ。

そんな事をしてれば、スーツを身にまとった先生が壇上に向かって歩いていく、入学式の始まりだ。

長い長い校長先生のお話の間、隣のやつはずっと話しかけてくる。どの辺に住んでるの、だとか兄弟はいるのか、とか正直めんどくさい。

そんなこんなで飽き飽きした頃にやっと入学式が終わる。

クラスごとに教室に分けられるも僕の教室に彼女の姿は見つからない。

…… もう一度会いたい。