月下美人 (ページ3)

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『まあとりあえず、これを読んでくれ』

バラついた資料の中から一枚差し出してきた用紙。

書かれていたのは、ずらっと並べられた韓国語と、
NCT127 という強調された文字。

『韓国語出来て、家事も出来て、プライバシーも守れるレイは、これ以上ない的役だと思って。
どうせ日本にいた所で窮屈な思いするだけだろ』

『そう、なんだけど…
家政婦は予想の斜め上だった』

『今までされる側だったもんな』

揶揄うように笑う奏を軽く睨みつける。
でも彼の言う通り、常にされる側だった今までの生活とは全く逆の立場になる。

それはそれで、面白そう。

『レイに担当してもらうのは、俺がマネージャーをしているNCT127の宿舎だ。
最初は大変だと思うけど、みんな良いやつだから』

『分かった。
でもよく会社が許したね。普通若い女性を雇うのには抵抗ありそうなのに』

韓国の芸能事情に詳しいわけでは無いけれど、奏が仕事するにあたって、興味本位でNCTについて調べたことはある。

人気があるグループが故に、過激なファンも多いって。

だからこんな20代前半の女が家政婦だって知ったら、
どんな態度で迎え入れられるのだろう。