〇人違い ページ32
．
脱衣所でエマちゃんから借りた洋服を着ながら、さっきフィオナさんに言われた言葉を頭の中で反芻する。
私がこの世界に来た理由。
私に任された役割。
本当にそんなものがあるのか、あるとしたら一体どんなものなのか。
今はまだ何も分からないけど…
ここでの生活の中で、自分なりにその答えを見つけよう。
｢…よし。｣
鏡の前でそう決意してから、荷物をまとめてそのまま洗濯室へと向かった。
．
無人の洗濯室で、自分の服と使ったタオルをじゃぶじゃぶと洗う。
今のうちに洗って夜のうちに乾かせば、明日には使えるようになってるはずだ。
｢(…そういえば)｣
エマちゃんに、明日は何時にどこ集合なのか聞いてない。
もうゲームは終わってるだろうし、この後エマちゃんの部屋に行って聞いてみよう。
…そもそも、こんな夜に明日マップを案内してくれる人なんて見つかったのだろうか。
洗い終わった服を絞りながらぼうっとそんなことを考えていると、ドタドタと大きな足音がした。
…ん？こっちに近付いてきてる？
｢や、やあ！マイスウィート！｣
止まった足音と共に背後からそんな大声が聞こえて、驚いて振り返る。
そこにいたのは、茶色のハンチングを被り、顎髭を生やして、大きく開けたカッターシャツの中に黒のネクタイを入れるという何とも風変わりな格好をした男性。
___『泥棒』、クリーチャー・ピアソンだ。
彼は私の5メートルくらい後ろに立って、ずっと俯いたまま視線をこちらに向けることなく、1輪のチューリップが咲いた小さな植木鉢を差し出した。
｢こ、この花…これが、その、明るくて、可愛らしいき、君に似合うと…思うんだ。だから、だからな、これを…きみに、お｣
顔を真っ赤にして、時々吃りながら言葉を紡いでいるピアソンさんは、そこでやっと顔を上げて私を見ると、雷にでも打たれたような顔をして手に持った植木鉢をガチャーンと床に落とした。
｢だ、誰だお前！！｣
｢今さら！？｣
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 340人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「第五人格」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ななな(プロフ) - 花恋さん» ありがとうございます〜！こちらこそ読んでいただけてとっても嬉しいです！これからの展開もぜひぜひ楽しんでください(*´∀`) (2023年4月19日 3時) (
レス) id: 5843cfdf5e (このIDを非表示/違反報告)
花恋(プロフ) - 更新嬉しいです！これからどうなるのか楽しみにしてます！ (2023年4月18日 18時) (レス) @page42 id: e938aee02d (このIDを非表示/違反報告)
ななな(プロフ) - マシロ＿mashiroさん» コメントありがとうございます！待っててくださる方がいると思うとすごく励みになります(；；)果たしてウィリアムと仲良くなることはできるのか、これからも楽しみにしてくださると嬉しいです！ (2023年4月18日 17時) (レス) id: 5843cfdf5e (このIDを非表示/違反報告)
マシロ＿mashiro(プロフ) - ウィリアム編楽しみに待ってます！ (2023年3月6日 14時) (レス) @page41 id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
ななな(プロフ) - あきさん» とっても嬉しいお言葉ありがとうございます(；；)こちらこそ読んでいただけて感謝しかありません…！まだまだお話は続くので、ぜひ今後ともお付き合いください！ (2022年10月16日 19時) (レス) id: 5843cfdf5e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ななな | 作成日時：2021年9月12日 14時
