寄り道しないの！ by緑 ２

６ ページ13

６



そうしてモヤモヤとイライラを募らせているとまた聞こえてくる会話。



『ねぇねぇ、これYouTubeでやったらおもしろいかも！』

『おっ、ええんちゃう？ 俺らみんなほめ上手やからええ勝負んなる思うで？』

『ほめ上手王選手権？』

『いやいやふっかさん、タイトルまんますぎやって。ちょっとは捻ろか？』



とんでもないこと言わないでよラウール！

そんで乗るな向井・深澤。

特に深澤！



『うわっ、やばいぞあの感じ』

『だね。ふっかさんマジで企画上げちゃいそう』



それな。

あいつ妙に行動力あるからな。

どんな話術使ってんのか知らないけど、すーぐ企画通してくるし。



(おい冗談じゃねぇぞ。そんな企画通ったら俺の顔にモザイク入るわっ)



佐久間まで「いいね！」とか言い出して、ほんとにマズいと思った時だった。



『いや、ムリだね』



すっぱり言い切ったのは照。



『えー、なんで？』

『おもしろそうやんな？』



ラウールと康二がちょっと駄々をこねるみたいに訊くと。



『だって結果見えてんじゃん』



何故かドヤ顔の照と、何かに気付いた佐久間。



『あー、かも！最終的に俺と照で勝負つかねぇな！』

『いや、俺の勝ちだね』

『ほっほぉ、自信満々じゃんｗ』



そう言って茶化す佐久間をよそに、照が更にマジトーンで言い放った。



『俺、佐久間の好きなところなら、永遠に挙げられる』

『え…』



誰ともつかない呟きにも臆せず照は続ける。



『ってことで俺の勝ちは決まってっから。俺がほめ王。佐久間ごめんな？』



そう言うと唐突にくしゃっと笑顔を見せ、佐久間を見下ろしながら肩に置いていた手でまた頭をポンポン。

慈愛に満ちたような笑顔を向けられて頭を撫でられた佐久間は。



『…そ、それを言うならほめじょーず王だろ！』



と辛うじてツッコんだけど、なんだよその“間”は。

しかもなに顔赤くしてんだよ、佐久間。

めっちゃ照れてんじゃん。



『あ、佐久間くん照れてる』

『…ガチじゃん…』



━━━━ ﾌﾟﾂﾝ



頭の片隅で聞き慣れない音がした。


.

７→←５

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す