Kiss & Cry

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佐久間を誘って断られたことがない。

初めこそ嬉しかったけどそのうち不安が勝って、どうして断らないのか訊いたことがある。

そしたらね。



『阿部ちゃんが触ってくれると…幸せな気持ちになるから…』



首まで真っ赤になってさ、遠慮がちに上目遣いで首コテンって。



『…阿部ちゃんは？』



何もしてないのに昇天するかと思ったからね？

もちろんイエスって答えてそのままベッドへ。

何度誘っても毎回初めてみたいに恥じらう佐久間が超絶可愛くて仕方がない。

でも実は、まだ最後までしたことはないんだよね。

なぜかというと、初めてそういう雰囲気になったとき佐久間が慌てて申告してきたことによる。

佐久間は行為そのものに興味がなく、経験が数えるほどしかないことや、知識も最低限しかないんだと言った。

男女間のことでもそうなのだからそれが同性間となると余計にどうしたらいいかわからない、と。

そこで俺はなんとなく、ほんの気まぐれで、佐久間の処理頻度を訊いてみた。

結果、佐久間は淡白すぎるほどに淡白だった。

予想の遥か斜め上を突き抜ける回答に、俺は心の中でガッツポーズを決めたのは言うまでもないよね。

まぁ好きな子が擦れてないことに歓喜するのは男女問わずでしょ。

でもそうなってくるといきなり最後までいただくのは気が引けて。

徐々に慣らしていこうと思ってたんだけど声出すことすら抵抗あるみたいで、半ば挿れるのは諦めてた。

けど回を重ねるごとに俺は欲張りになってしまったみたいで、声くらい聞きたいなぁなんて思い始めて。

そんなときゆり組に相談して、もらえたアドバイス。



『家康じゃダメかもね。秀吉でいってみたら？』

『涼太は信長だったけど』

『昔はね。最近の翔太は素直だから、そんなにひどいことしないでしょ？』

『ぅうううるさいっ！！』



ロイヤル舘様から手拭いなら跡が付きにくいって教えてもらった。

あんまり気乗りはしなかったけど、翔太にも試す価値はあると言われやってはみたものの。



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