１５ ページ47
黄
言わなきゃ伝わらない。
だから言葉にしよう。
届け、と念じながら。
『バカは難しいこと考えんな。いつも通り笑ってりゃいいんだよ。お前から元気取ったらバカしか残んねぇんだから。笑ってろ。
そんで笑えそうにないときはそう言え。俺らが笑わしてやる。お前が笑えるまで何度でもな』
『そうだね。俺たちのわがままかもしれないけど、佐久間には笑顔が似合うから笑っててほしいかな。
焦らなくていい。頑張りすぎなくていい。ひとりじゃないよ。いつでも俺たちがそばにいるから。だから安心して。ね？』
ぶっきらぼうだけど優しさが滲む翔太の言葉に続いた舘さんが、同意を求めてふっかを見る。
『ん…うん、そうだよ…』
ふっかが天井を仰いでからひとつ深呼吸をした。
『俺らは何があっても離れない。それだけは言い切れる。お前のことも、どっか行けって言われても離れねぇし離さねぇよ。
いままでもこれからも、俺らなら乗り越えられねぇ壁なんてねぇから…だからさ、一緒に頑張ろうぜ？な？』
さっきまで泣きそうになるのを堪えていたくせに最年長っぽさを出すふっかから、今度は俺にパスが飛んできた。
呆然としたまま話す人を順に目で追っていた佐久間と、俺もガッツリ視線を合わせる。
『佐久間はさ、俺らのことすごく大切に思ってくれてるんだよな。うれしいよ、ありがとう。
でも大丈夫だよ。みんなが言った通りだから。こういうときくらい素直に甘えろって。俺らはそれを誇りに思うよ』
瞬きするたびに大きな目からひと粒、またひと粒と頬を伝って雫が流れる。
その濡れた頬を阿部が両手でそっと包んでゆっくり自分のほうへ向けさせた。
『佐久間、よかったね。みんな準備バッチリだって』
少しおどけたように言って、佐久間の瞳を覗き込む。
“どうしたい？”
言ってごらんとばかりに阿部がひとつ頷いて答えを促す。
佐久間の顔がくしゃっと歪み、絞り出すように小さく叫んだ。
『っ…おれも…みんなと…っ…いっしょがいいっ…！』
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1450人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
タカ(プロフ) - chitaro331さん» chitaro331さんはじめまして。コメントありがとうございます。お気に召していただけたようで嬉しいです。カメ更新ですので、これからも気長にお付き合いくださいませ。 (2021年4月20日 1時) (
レス) id: 2942201acc (このIDを非表示/違反報告)
chitaro331(プロフ) - 大好きな作品です！お仕事もありお忙しいと思いますが更新を楽しみに待っています！応援してます (2021年4月19日 2時) (レス) id: d7a819cdea (このIDを非表示/違反報告)
タカ(プロフ) - なぁなさん» 再びありがとうございますm(__)mまたもや返信遅くなりすみません。不快だなんてとんでもないです。お待ちいただけてるというのは光栄なことです。嬉しく思いこそすれ不快だなんて思えません。カメ更新心苦しいですが、もう少々お待ちくださいませm(__)m (2021年3月6日 14時) (レス) id: 2ff5c5dd70 (このIDを非表示/違反報告)
なぁな - タカさん» お忙しい中返信ありがとうございます。急かすようなコメントをしてしまい本当に申し訳ありません。ただ自分の感情や欲望に任せてこう言ったコメントをしてしまい不快な気持ちにさせてしまい申し訳ないです！これからも主様のペースで頑張ってください！応援しています！ (2021年3月4日 14時) (レス) id: d6472c7769 (このIDを非表示/違反報告)
タカ(プロフ) - なぁなさん» お返事遅くなり申し訳ありません。更新はしたいのですが、一度データが消えたため時間がかかっております。まだお時間いただいてしまいそうですm(__)mできるだけ早い更新を目指しておりますので、お待ちいただけると幸いです。コメントありがとうございます。 (2021年3月4日 0時) (レス) id: 2ff5c5dd70 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：タカ
| 作成日時：2020年6月13日 1時
