８７緑 ページ37
緑
『なるほど。ルームシェアする前にリスクヘッジを図っておきたいってことね』
『はい』
あわよくば“事務所命令”ってことにしてほしいってのはいまは伏せておくけど。
それにしてもさすが滝沢くんだ。
情報の脳内処理が異様に速い。
けれどそこで腕を組んでソファーに背を預けまた思案モードに入ってしまった。
手には先ほどの書類。
もしかしてもっと大きな都内の病院に通えと言われるのだろうかと一瞬焦りが生まれる。
たぶん同じ不安を感じただろう佐久間と目が合って、俺は大丈夫と言う代わりに頷いて見せた。
その大丈夫は自分自身にも言い聞かせるためだったけど。
すると滝沢くんが急に立ち上がった。
『ごめん、ちょっと待ってて。電話一本だけ済ませてくる。すぐ戻るから』
それだけ言い残すと慌てたように応接室を出て行ってしまった。
しかも書類を持ったまま。
呆気にとられながら後ろ姿を見送れば室内は静寂に包まれた。
(このタイミングでなんの電話？…誰に？)
さっきまでの自信はどこへやら。
俺は瞬時に悪い想像ばかり膨らんで、それを振り払うようにゆっくり呼吸をして自身を落ち着かせる。
(失敗した？…いや、大丈夫。うまくいってるはず)
ここまでは順調なはずだ。
そうだ。
もし改変を求められるとしたらたぶん病院のことくらい。
だとしても説得する自信はある。
あとは部屋探しの件と仕事の調整が残ってるけどそれもたぶん問題ない。
うん、大丈夫。
テーブルの書類をまとめながらそんなことを考えていた。
と、そこで俺はようやく隣で黙ったままの佐久間に気が付いた。
『さ、佐久間っ？』
そこには眉を八の字に下げて下唇を噛む佐久間がいた。
いまにも泣き出しそうで、しまったと思った。
自分が混乱したばっかりに佐久間のフォローが疎かになってしまっていた。
両手はＴシャツの裾を掴んで瞳を不安げに揺らしている。
滝沢くんが部屋から出て行ってしまって俺以上に不安になっているようで呼びかけにも答えない。
きゅっと握られた手をそっと上から包むとそれにピクリと反応して落ちていた視線がやっと俺に向いた。
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タカ(プロフ) - meiさん» ああぁぁぁmeiさんありがとうございます！すみませんお返事遅くなりました＆レスになってなかった！！ちょっと自分殴っときますんでお許しください！((殴っ 労いのお言葉ありがとうございます！忙しくても亀でも続けますのでこれからもよろしくお願いします！ (2020年6月14日 19時) (
レス) id: 4fdae29e43 (このIDを非表示/違反報告)
mei(プロフ) - 移行おつかれさまです！メインもサブも更新嬉しいですｖ どんどんお忙しくなるみたいで、期待ばかりで恐縮ですが、続き楽しみにしていますｖ (2020年6月13日 9時) (レス) id: 8936549e4d (このIDを非表示/違反報告)
タカ(プロフ) - 移行完了です。よろしければ次もお付き合いくださいませ。 (2020年6月13日 1時) (レス) id: 4fdae29e43 (このIDを非表示/違反報告)
タカ(プロフ) - meiさん» いつもありがとうございます。こっちの話を書いてるとサブページも書きたくなる病にかかっておりまして、その分進みが遅くてすみません。そうですね、そろそろ見えてきましたのでもう少しお待ちくださいませ！ (2020年6月4日 1時) (レス) id: af4962c1c1 (このIDを非表示/違反報告)
mei(プロフ) - 更新嬉しいです！そして、いよいよかなとワクワクしておりますｖ また楽しみにお待ちしていますｖ (2020年6月3日 22時) (レス) id: 8936549e4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：タカ
| 作成日時：2020年4月25日 0時
