snow pink ２

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緑



そうと決まればと、俺はダメ元である人に会いたいと事務所に急きょ交渉する。

返事を待つ間にいったん自宅に車を回した。

いろいろと資料をまとめてカバンに詰める。

得手勝手、独断専行と受け取られかねない自身の行動もいまは虚心坦懐にすら感じていた。

かなり急だったにもかかわらず奇跡的にアポが取れ今夜話を聞いてくれると事務所から返答が来た。

すぐにメンバーにも連絡すればラインには了承の旨が並んだ。

佐久間のほうについてくれているマネージャーにも確認を取り本人に伝言を頼む。

迎えに行った佐久間は少し疲れが見えたけど、報告自体には前向きだった。



『こういうのは後回しにするといつまで経っても言えないもんね』



さすがポジティブ思考。

一度方向が定まれば迷いがない。

こういうところに俺もメンバーもいつも助けられている。



『簡単に趣旨は説明してあるけど、佐久間自分で話せそう？』



きっとあの人には佐久間自身の言葉で伝えたほうがいいだろう。



『うん。自分で言う。言わなくちゃ』

『そうだね、それがいいと思う』

『でも、大丈夫かな。ちゃんと話せるかも不安だけど、いいって言ってもらえるかな…』



前向きではあるけどやっぱり事務所サイド、特にあの人に反対されたらと思うと気が重いらしい。

語尾が尻すぼみ。

すごくわかる。

俺だってスイッチは入ってるけどわずかな不安はあるんだから。



『大丈夫。２人でがんばろう？』

『…うんっ。ありがとう、阿部ちゃん』



そう言って佐久間は笑ったけどやっぱり少し緊張しているようだった。



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