snow pink ２

６７緑 ページ17

緑



佐久間の家からの帰り道、メンバーと別れた俺は大きめの書店に寄った。

数冊の書籍を買いその日のうちから読み耽った。

同時進行でネットでの情報収集などに明け暮れた。

仕事の合間のどんなすき間時間もすべて使って必要な情報を集積した。

タイムリミットは約２日。

限られた時間の中で少しでも最善に近い答えを求めて俺は躍起になった。

自分にしては珍しく、たとえそれが無駄な努力になっても構わないとさえ思っていた。

不確定要素を考慮しながら多岐にわたる情報を項目ごとにまとめていく。

最終的にはレポートにまとめてプレゼンする予定だから、できるだけ抜け落ちがないように。

受験以来こんなに集中したことがあっただろうかと思うほどの集中力を発揮して迎えた佐久間の受診日当日。

かなり強引だったけれど、付き添いと称して同行することには成功した。



病院に着くと佐久間はわずかに緊張の色を見せていた。

前回もあまり楽しそうではなかったけれど、それはただ単に病院という施設に関して怖気づいているだけかと思っていた。

けれど事情を知ったいまはなんだか違って見える。

それとも単純に酔ってしまっただろうか。



『大丈夫？運転荒かった？』

『…ううん。ちょっと考え事してただけ』



そう言った顔はやっぱりほんの少し硬かった。

それは待合室に入っても変わらなくて、番号を呼ばれた時は小さく肩を揺らしていた。

今日は佐久間がひとりで診察室へ入る。

ドアの向こうへ進む明るい髪色を見送って、俺は一旦待合室から建物の外に出た。



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