snow pink

９　黄 ページ9

黄



『じゃあ佐久間、なんだったら食べれそう？』

『え？……んっと……えっと……』



車に揺られながら佐久間にいくつか質問をしていた阿部。

昨日は眠れたのか、いつからまともな食事が摂れてないのか、本当に自覚症状はなかったのか。

最後のは俺も気になるところだったんだけど、少し考えてＮＯと答えているのを聞いてマジかと思った。

本当に自分の体の変化に気付いてなかったらしい。

そしてそこまで普通に返事をしていた佐久間がさっきの質問で答えに窮した。

阿部ってば佐久間に食欲なんてあるはずないのを知ってて意地悪なやつ。

佐久間もはっきり“ない”と答えればいいだけなのに、阿部の気迫ですんなりと答えられないみたいだった。

すると阿部が盛大なため息をついた。



『はあぁぁー…照、どこでもいいからドラッグストア寄ってもらえる？そこなら薬もそれ以外もぜんぶ揃うから』

『おっけ』

『あの、薬なら、家にあった気がすｒ』

『気がするんじゃダメ。あって困るもんでもないしなんなら買い置きしといたほうがいいよ佐久間の場合。
別にすぐ腐るもんじゃないんだから。逆に“あるかも”なんて買わずに帰って二度手間は御免だから』

『…はぃ…』

『ぷっ』



思わず軽く吹きだした。

家にないんだな、薬。

佐久間のやつ、速攻でバレてんじゃん。

そのあと立ち寄った店で阿部が薬や水なんかを買い込んで佐久間の家に到着した。


.

１０黄→←８　黄

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す