snow pink

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緑



照にわざわざメールでご飯に誘われた。

佐久間とラウールは来ないって書いてあって、そういうことなのかなって思った。

メールを見たときは行こうかどうか正直迷った。

適当な理由をつけてもうひと晩佐久間の家に泊まってやろうかと思っていたから。

でも佐久間の調子は良さそうだったから、心配ではあるものの佐久間を家に送り届けてから参加すると返事をした。

今日の昼に友人から聞いた話をみんなにも伝えたいと思っていたしちょうどいいタイミングなのかもしれない、と。

でもいざ佐久間の家の玄関までたどり着くと、佐久間をひとりにするのが少し怖かった。



『ちゃんとゆっくり寝ろよ？』

『うん。送ってくれてありがと』

『どういたしまして。あ、アニメ見すぎたらダメだからね？』

『はぁい』

『なにかあったら連絡しろよ？』

『わかった。なんかあったらぜったい連絡する』



素直に返事をしてくれる。

こういうとき佐久間は嘘は言わないからその言葉は信じてもいいと思う。

いま触れている手のぬくもりも、もう体温は平常だと教えてくれている。

でも、今夜もしも佐久間の身を別の不調が襲ったら、そう考えると心配で堪らない。



『…阿部ちゃん？…手…』



言われていつまでも握っていた手を開放した。

途端に手の平がスース―する。

佐久間も同じことを思ったのか自分の手を見ていて、２人して同じ仕草をしていることに気付き少し笑い合った。


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