4 桃 ページ4
桃
『このまま俺と佐久間帰るね。あとはふっかに頼んでいい?』
『任せろ。さっさとそのバカ寝かしてきて』
『役に立ってよかったよ、体温計』
『お前なんなの?バカなの?なんで踊ってんの?ねぇバカなの?』
『照、たぶん佐久間んちなにもないから。経口補水液と冷えピタだけ先に買ってって』
『りょーかい』
俺抜きでまとまった話は俺の意思などお構いなし。
ものの10秒で俺を家に送り届ける算段が決まっていた。
完全にデジャブだった。
何度こうして家に強制送還されただろう。
その度に悪態をついてみたり拗ねたりしてみたけど、なんの効果もなかった。
こうなるともう俺は白旗を上げるしかない。
俺は照の腕の中でガクンとうなだれた。
さっそく照の車で自宅に送り届けられることになった。
さっきの会話からして、あとから阿部ちゃんも来るっぽい。
マジか…。
照以上に心配性の阿部ちゃん。
俺、終わった…。
勝手に撃沈していると、追い打ちをかけるように俺の前に大きな背中が屈んだ。
『はい、乗って』
『………しつれいしまーす…』
イヤだって言ってるのに、照は俺を背負いたがる。
普通に歩けるって言っても問答無用って感じ。
俺は仕方なく照の背中にしがみつく。
だって、おんぶがダメなら姫抱きっていうんだもん。
恥ずかしすぎるだろ!
俺が背中に乗ると照は康二がまとめてくれた2人分の荷物を持ってスタジオを出た。
いざ護送車という名の照の車へ。
早く善くなってとかお大事にとかいうメンバーの声が背中に刺さって痛い。
そんな重病人じゃないんだけどなぁ。
廊下ですれ違うスタッフさんが「どうしたんですか?」と驚くと照が「熱あるんで送ってきます」って律儀に返すのもイヤ。
『ちゃんとつかまっててね?』
照の声が甘ったるくなるのも、なんかイヤ。
この状況に、俺のほうが年上なのにって無駄にプライドが傷付く。
しかも軽々と運びやがって…と、普段はどうでもいいと思ってることがやけに引っかかる。
これって体調悪いからなのかな。
自覚ないけど。
『…はぁー…』
うっかりため息をつくと。
『大丈夫?気持ち悪い?』
なんて優しい声で振り返るから。
『だいじょぶでーす…』
力なく答えるしかなかった。
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タカ(プロフ) - 移行完了です。よろしければ次もお付き合いくださいませ。 (2020年4月25日 0時) (レス) id: af4962c1c1 (このIDを非表示/違反報告)
タカ(プロフ) - 佐久間担×シゲ担○さん» ありがとうございます。どーんと落ちたりもする予定なので楽しんでいただければと思います。あちらのほうでのご回答もありがとうございました。めめさくも好きなので書いてて楽しかったです(浮気性) (2020年4月19日 10時) (レス) id: af4962c1c1 (このIDを非表示/違反報告)
佐久間担×シゲ担○ - タカさん» 全然大丈夫ですよ〜!どーんと大きくしてください(笑) 佐久間君大丈夫ですかね…?続きが気になります(笑)更新、頑張ってください!! (2020年4月19日 1時) (レス) id: c44f20117a (このIDを非表示/違反報告)
タカ(プロフ) - 佐久間担×シゲ担○さん» 佐久間担×シゲ担○さん、ありがとうございます。話のふり幅大きくてすみません。ちょうど「みなさん読みにくいだろうなぁ」と思っていたとこなので、そう言っていただけるとホッとします。さらにふり幅大きくなってもついてきてくださると嬉しいです。 (2020年4月17日 23時) (レス) id: af4962c1c1 (このIDを非表示/違反報告)
佐久間担×シゲ担○ - たまにネタ要素が入ってて物語に引き込まれます!とっても面白いです!!! (2020年4月17日 23時) (レス) id: c44f20117a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:タカ | 作成日時:2020年4月6日 1時