母のような ページ22
「__________ということがありまして。祝言と言われると血塗れの白無垢を思い出すのです」
あまね「そのような事が…。勝手なことをして申し訳ありません」
「あ、いえ!あまね様は何も悪くないです!ただ私があの時何も言ってあげれなかったとずっと後悔してて、それで…」
あまね「一つ、私の考えを申しますと、確かにA様はその方に酷なお言葉をおかけになったかもしれませんが、貴方様がそれで白無垢を着ることを躊躇うことは無いと思います」
「え…?」
驚いて振り向くと、聖母のような優しい微笑みを浮かべているあまね様がこちらを見据えていた
あまね「大きな後悔は誰しも持ち合わせているものです。それを背負う気持ちでいましたら、少しは楽になるかと。少なくとも私は、今までそうして参りました」
「背負う……。私に出来るでしょうか」
あまね「A様ならきっと出来ます。白無垢、よくお似合いになると思いますよ」
まだ私が着ていいのか迷っている。背負えるか、分からない。でもあまね様がここまで背中を押してくださって、白無垢を、着てみたいと思った。
「…白無垢、有難く頂戴致します。私は着てみます。着たいです。」
あまね「ふふ、良かったです。式が楽しみですね」
「あっ、でも私着方が全く分からないんですけど」
あまね「御安心ください。式は此処で執り行われる故、私が着付け致します」
御屋敷で祝言やるの?え、私何も聞いてないんだけど???
「こ、此処で行って良いんですか?ていうか、あまね様が着付けを?ほんとに宜しいんですか?」
あまね「勿論で御座います。私はA様方の母のようなものですよ。」
私の本当の母は、そんなふうに言うどころか私を人間とも思っていなかった。
しのぶたちのような家族の温かさとはまた別の温かさを感じる。本当に、泣きそうなぐらい嬉しい。けど、
「ですが、あまね様の手を煩わせるわけには…」
あまね「そのようなことは一切思っておりません。寧ろ、私共から実弥様へお願い申した程です」
え…そうだったんだ。私たちのために。
「私たちのために、そんな…本当にありがとうございます…!」
あまね「先程も申しましたが、私は貴方様の母ですよ?子供のために私が役に立つのは、とても嬉しいのです」
そう言って、いつの間にか溢れていた私の涙を優しい手つきで拭ってくださった。
あまね「ではそのような取り計らいで。実弥様が外でお待ちです。そろそろ参りましょう」
「はい!」
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鈴音月 - ゼリーさん» やさしい゛゛゛!! (2021年6月14日 20時) (レス) id: 7ac441a921 (このIDを非表示/違反報告)
ゼリー - こちらこそお忙しい中更新してくださってありがとうございます! (2021年5月31日 17時) (レス) id: 4ef789830e (このIDを非表示/違反報告)
鈴音月 - ゼリーさん» ありがとうございます(泣) (2021年5月29日 13時) (レス) id: 665296cf15 (このIDを非表示/違反報告)
ゼリー - 受験生なんですね!受験勉強頑張ってください! (2021年5月25日 21時) (レス) id: 4ef789830e (このIDを非表示/違反報告)
鈴音月 - ゼリーさん» まじですか!?!?おめでとうございます!!(気が早い)応援のお言葉もとても嬉しいです…。更新遅くてすいません。受験生なもので、ね、うん、言い訳は良くないですね。頑張ります!!! (2021年5月23日 11時) (レス) id: 665296cf15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴音月 | 作成日時:2020年12月21日 22時