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外に出ると冷たい風が頬を撫でた。
気付かれないように横顔を見ると暗闇の中に赤くなった横顔が見えた。
「あー、ちょっと飲みすぎた」
少しかすれた声でそう言う。
「大丈夫ですか、顔赤いですよ、」
「あの時のAちゃんよりましでしょ」
「...心配しなきゃ良かったです」
ははは、と目を細めて笑うじょーじさん。
「外で待ってます」
「分かった」
自動ドアが開く音がして地面が白く照らされた。ふと空を見上げると月が浮かんでいた。満月だった。月自体は時折見るものの満月は長い間見ていないことに気付いた。
こんな日に満月を見れるなんてついている。
ぼーっと月を見上げていると肩をぽんぽんと叩かれた。
「月?」
「はい、」
「月なんか見たの何年振りだよ」
「じょーじさん、見てそうですよ」
「えー、俺そんなロマンチストな感じ?」
何も言わず歩き出した背中に少し早足で追いつく。
「見てこれ」
袋から出したのはわらびもち。
「毎回のことなんだけど帰国したらコンビニに感動すんだよな」
「アメリカはだめですか?」
「全然だめ」
一つ口に入れると驚きながらうまあ、と声をもらした。
「はいあーん」
いつもよりとろんとした目で差し出してくる。
「いいです、じょーじさん食べてください」
「いいから口開けて」
恥ずかしさを隠す為にこじつけた理由は完全に無視され渋々口を開く。
「おいしい?」
「...おいしい、けど、」
「けど?」
「...じょーじさんかなり酔ってますよね」
「ばれた」
「...だってこんなことするキャラじゃないです」
「確かに酔ってないとしないわ」
笑いながら言う姿は何もいつもと変わらないのにまるで別人のように見えた。
人ってお酒で性格も変わるのか。
でもここまでどんな一面にも見惚れてしまうなんて本当に好きなんだな。
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AIRIjinr(プロフ) - せっかくの小説が、、 (2017年3月23日 22時) (レス) id: e3240d5c29 (このIDを非表示/違反報告)
AIRIjinr(プロフ) - ピンクだと見えずらいですねw (2017年3月23日 22時) (レス) id: e3240d5c29 (このIDを非表示/違反報告)
AIRIjinr(プロフ) - すごい!!ピンクだぁー (2017年3月22日 16時) (レス) id: e3240d5c29 (このIDを非表示/違反報告)
つゆ(プロフ) - AIRIjinrさん» ありがとうございます、楽しんでいただけたら嬉しいです! (2017年3月21日 20時) (レス) id: a62b1469fd (このIDを非表示/違反報告)
AIRIjinr(プロフ) - 更新ファイト!!応援してますーーーー!面白過ぎ!! (2017年3月21日 12時) (レス) id: e3240d5c29 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:つゆ | 作成日時:2017年2月19日 22時