IF/ 高城司の場合 ページ25
※初めから小田島ではなく司と付き合っている世界線
.
(高城)
「司。今から俺、鳳仙行ってくるわ」
「は？」
馬鹿かこいつは。鈴蘭の次は鳳仙？なんで毎回1人で乗り込もうとするんだよ。本当、うちの頭は……いやでも鳳仙か。
「待て楓士雄。俺も行く」
「おう。いいぜ」
「先に聞いとくが、やり合うわけじゃねえよな？」
「あったりまえだろ！遊びに行くんだよ」
流石に何もやらないとは思うけど、楓士雄の監視…とAに会いに。最近うちの周りに見たことない奴らが彷徨いてたりするから、あいつは面倒事が起きないように気遣ってくれてたからあんまり会えてない。俺も俺で鬼邪高の事があるし。
「よー、おだっち！サッチーは？」
「佐智雄は今……て、楓士雄？なーにしてんの？」
『ゆうけー……ん？え！？楓士雄！？』
「おう！」
「お前さぁ、一応ここ鳳仙なんだけど？」
「ん？知ってっけど？」
いつもの調子で答える楓士雄に頭を抱えたAと小田島は、上田が不在の今どうするべきか悩み始めた。確かにここは鳳仙。一度やり合った鬼邪高の、しかも頭が乗り込んできたとなれば乱闘ものだ。
「ごめん、俺が止めなかった」
『つかさ！？』
「おう。A、久しぶりだな」
緩やかなウェーブヘアを揺らして振り返ったAは、俺の顔を見て大げさに驚いた。そして状況を把握し始めたのか、ゆっくりと口角が上がっていく。それが可愛くて頬にわかりやすく貼られた絆創膏を触ると、擽ったそうな笑みを浮かべた。
『久しぶり！最近も鬼邪高やばめ？』
「そうだな…割と面倒は続いてる」
『そうか〜。まあ、定時の人もいなくなったし大変そう』
「Aは？この絆創膏…」
『あー、これは昨日ちょっと。ほぼ無傷だし大丈夫』
「気をつけろよ？なんかあったら俺がって言いたいけど、直ぐには向かえねぇし」
『うん。ありがと〜』
絶望団地で鳳仙と手を組んだあの日、矢田Aという人間に深く関わって俺の人生は大きく変わった。グレーの学ランを着た姿も、袖で汗を拭く姿も、顔に傷が増えていく姿も。何もかもが魅力的で、輝いて見えたんだ。
「A」
『なに？司』
「好きだ」
『珍しいね』
「俺が言いたいと思ったからいいんだよ」
『今日の司、なんか可愛いね』
俺よりもAの方が可愛いんだけど、なんて言葉はあえて飲み込んだ。俺が口に出すことによってAの可愛い所がバレるなんて、絶対嫌だわ。俺しか知らなくていい。
おまけ（会話だけ）→←IF/ ep.10.5（小田島△高城）
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作者名：飽き性 | 作成日時：2022年9月30日 1時
