ep.20 / END ページ23
音バグなくらい大音量のアラームが鳴り響き、俺たち2人になって朝の起床時間を告げた。
『有剣!ゆうけーん!今日一限から入ってるんだよね!?遅刻するよ!』
「えー、やだ」
昨日の夜カットしておいたキウイを出して、フォークを刺せば朝食の完成。あとは…作り置きの烏龍茶でいいや。のそのそと起きてきた有剣の髪は、鳳仙生の頃よりも少し短くなった。それもまたイケメンが爆発してて困りものだけど。
『沢村と唯ちゃんがデートしてるとこみて、遂に佐智雄が白目剥かなかったって聞いた?』
「まじ?それは俺もビックリ。あんだけ気絶してたのに」
『あの2人もいい感じだよな〜』
お互い大学生になって自由な時間が増えた2人は、とんでもなくいい雰囲気で続いてる。沢村はもっと男らしくなったし、唯ちゃんも凄い綺麗になってた。
「ん…?佐智雄から」
『佐智雄?どうしたんだろ』
「もしもし〜?いんや、いま家だわ」
今日は〜、1限と3限だけか。終わったら買い出しでも行こうかな。あ、そういえば楓士雄からなんかLINEきてたわ。時間あれば鬼邪地区行ってもいいけど…うーん。どうしよう。
「おっけー。じゃーね」
『佐智雄、なんだって?』
「なんか、連合組んだ学校に襲撃されてボロッボロだって〜。サバカン曰く、俺たち卒業生が目的らしーよ」
『……へー。馬鹿連合だってわけか』
「んで、佐智雄が空いてるならきて欲しいって」
卒業してから早1年が経とうとしている。それまで連絡は取り合うものの、在校生が俺たち卒業生に助けを求めることなんか一度もなかった。
『空いてなくても行くのにね。体、動くかな〜?』
「なーにいってんの。昨日も喧嘩吹っかけられてたじゃん?俺たちは"鳳仙"って名前が付き纏うからねぇ」
卒業しても鳳仙、何年経っても鳳仙。それは変わらない事実なわけで。可愛い可愛い後輩がやられて黙っとくなんて、俺らがやることじゃない。
『っしゃあ。やるかぁ〜』
「…動けなくなるほどの怪我はすんなよ」
『その時は有剣が手助けしてくれるでしょ?』
「てか、殺す」
長らく目にしなかったグレーのスラックスをはいて、色違いで買ったパーカーに袖を通した。きっと、今日でこのパーカーとはさよならすることになるだろうなぁ。今度買い直すか。
「まいど〜、殺し屋鳳仙だす」
『どーも。後輩がお世話になりました』
「お前ら…死んで詫びろ」
面倒だけどこっちから挨拶しに来てやったぞ。ほら、連合総出で出迎えろ。
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作者名:飽き性 | 作成日時:2022年9月30日 1時