ep.16 ページ19
合コンですか?行きましたよ。そりゃ約束したし。当たり障りないような交流の仕方すればいいかと思って行ったんだけど、これがまあまた大変で…。まず自己紹介の時点で有剣がやらかした。次、"俺の"Aでーすって。もちろん女の子たちは「え?」って不思議そうに声を上げてたけど、有剣は楽しそうだった。
「矢田くんと小田島くんって、仲良いんだね!」
「そ〜。もう超なかよし。だって俺、Aのこと隅まで見てんもんね」
『ああ、うん。気にしないで』
「おだっちはさー、Aのことになるとまじでガッツくから!」
「まあ、俺のだし?」
『…あー、うん。これも気にしないで』
「えーっと、じゃあ!矢田くんの好きなところは?」
いや君たちなんのために合コン開いたの。数合わせの俺らの内部事情話しても意味なくない?てか楓士雄、司が女子にモテて羨まし〜!って言ってたじゃん。お前は自分のこと話せよ。絶好のチャンスだぞ、今!てかそろそろ俺を解放してほしい。
「Aはね〜、なにしてもかわいい。あと強いし。喧嘩するとクールなとことか、意外と気が強いとことか、ぜんぶ?」
『有剣、もういいよね?終わって』
「なーに。照れたぁ?かわいー」
「まじじゃん!やっちん顔真っ赤!」
「…泰志。あれは助けた方がいいやつか?」
「いや…ほっとけ」
そんなこんなで、女子そっちのけで男子校ノリが炸裂してしまって合コンは幕を閉じた。鬼邪高と合コンするくらいだから相手も引いてはなかったけど、連絡先交換とまでは行かなかった。と言うのも、連絡先を交換して欲しい雰囲気の子がいたんだけど有剣が…ね。あはは。いやあ、日に日に独占欲増してない?あの人。わかってて付き合ってる俺も俺だけどさ。
『もうかえりたい』
「俺も。疲れたわ」
『司は?彼女探さなくていいの』
「俺は別にそこまで」
『そっか』
わかるか楓士雄。これだよ。これが司がモテる理由だよ。もうね、なんか概念が違うの。俺から見たら楓士雄でも毎日楽しそうだなぁって思うけど、女子目線じゃ違うじゃん?
「A〜。かえる?」
『帰る…』
「んじゃ、俺とAは帰るわ」
「楓士雄悪い。俺も帰る」
「おう!ありがとな!気をつけて帰れよ!」
あ〜、疲れた。超疲れた。本当は一歩も歩きたくないけど、久しぶりに歩くこの地区で地に足をつけてたい矛盾した心が生まれた。生ぬるい風が頬を掠める。もうすぐ夏も終わると言うのに、まだまだ暑い日が続きそうだ。
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作者名:飽き性 | 作成日時:2022年9月30日 1時