とてもじゃないけど、 (ページ17)

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ep.14 ページ17

は？いや、は？今俺はドッキリでも仕掛けられてるんだろうか。突然だ。あまりにも突然すぎる。

「とどろきしゃんがねぇ、刺身食べたいんだって」

「お前が捌く方がうまいから」

『で、釣って速攻うちに来たと』

「そう」

いや、ドッキリじゃなかったわ。夢でもない。ただの急なお宅訪問だった。相変わらず呑気な有剣と轟の組み合わせは面白すぎる。…じゃない、ちょっと待て。

『先に妹にご飯作るから待ってて』

「お前、妹いんだな」

「そーだよ。Aに似て"顔は＂可愛い妹ちゃん」

『顔以外も可愛いからな』

「それはAにだけだからね」

有剣がうちに遊びにくるのも何回目なのか…は忘れたけど、割と来てると思う。妹が顔と名前を覚えるほどには来てる。轟はもちろん初めてで、妹にもお母さんにも会ったことがない。

「Aにーちゃ…。ねえ、あのおにーさん誰？」

『轟って言うおにーさんだよ。俺の友達』

「ふーん」

「あり〜？もしかしてはじまった？」

『ごめん轟。悪気はないから何言われても許してね』

「は？」

始まった。始まってしまった。うちの妹はちょっと特殊というか、誰にでもそうなんだけど…何故か初見で分析したがるんだよね。有剣も最初そうだったから。

「轟さん、あんま人に好かれなさそう。有剣くんみたいなもの好きからしか好かれなさそう」

「あはは！あたり！あたってるわ！」

「おい」

「当たった？」

『もうほら！ご飯作るから！サラは着替えてきて』

「有剣くん。私がいない間におにいちゃんに手出したら、」

『それは轟がいるから大丈夫。この人、クソ強いから』

そう、毎回こうなの。佐智雄が来た時もそうだった。その時はなんだっけ…あー、シスコンそうって言われて固まってたな。思い出した。失礼すぎるからやめなって言ってもなかなか治らなくて、どうしようかといつも頭抱えてるんだよね。絶対友達失うだろうから、その前にやめさせたい。

「あー、笑った。相変わらずヘンな子」

『ほんっとにごめん』

「別にいいけど」

「ちなみに俺も初見であれ食らったから。絶対Aのこと好きだろ〜って言われちゃってさぁ？もうぺろっちゃいましたって言ったら、無言で部屋から追い出されたわ」

「前から思ってんだけどよ、お前めちゃめちゃ大胆だよな」

「そー？やだ、はずかし」

『はあ…』

「お前も苦労してんだな」

『そうなんだよ。割と苦労はしてる』

でもあの日、有剣の手を取った事に後悔はしてないよ。