ep.10 ページ11
(小田島)
「シダケンとAやったの、お前？」
サボテン、さよなら。お前の命日は今日だ。
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「あ〜！つかれたあ。じんかわ〜！」
サボテンはシダケンとAをやったのと同じように、俺に手錠をかけて繋ごうとしてた。けど、最初から知ってたし逆に繋いでやった。結果は捕まえた俺の勝ちな訳だけど、あのまま抵抗もできずタコ殴りだった未来を思うとゾッとする。
「楓士雄。おつかれ」
「おう。いやぁ、あいつ強かったな！」
「マジでヒヤヒヤしたぜ。一瞬負けるかと思ったわ」
「っ、と、楓士雄」
「おい司大丈夫かよ。あんま無理すんな、お前かなりフラフラだろ」
「それはお前もだろ？…ありがとな。来てくれて」
俺たちはシダケンとAの礼を、鬼邪高は司の奪還と今いないメンツの礼を。お互い目標は達成できたようで、途端に張り詰めた雰囲気は穏やかなものになった。というのも、ほぼ楓士雄のお陰だろう。もう終わった。終わったんだ。なのに見かけない、俺の大事なひと。
「あんれ、泰志。Aは？」
「あ？あそこいんだろ。連れてきたぞ、ちゃんと」
「まじだ。ありがとね〜、連れてきてくれて」
「俺もあいつのこと、別に嫌いなわけじゃねぇし」
体育館の入り口の日陰で隠れるように座るAを見て、仁川の背中からゆるりと降りた。本当は歩きたくもないから、このままつれて帰って欲しいくらいなんだけど。そんなこと言ってられない。
「A」
『ゆうけん』
「おつかれさま」
『おつかれさま』
「終わったって」
『ここで見てたよ』
「入ってくればよかったじゃん」
『中は暑いじゃん』
綺麗なウェーブヘアが血液で固まりまくった頭を撫でて、Aの背中ごと包み込んだ。良かった、ちゃんとここまで来れて。良かった、ちゃんとあいつを仕留めれて。今まで見たこともないような破れ方をした鳳仙の制服を見ると、今回はAにとってかなり苦戦した喧嘩だったんだなと思う。俺も、仁川も、沢村も、そして志田も。みんなそうだ。
『ねえ、クレープ食べたい』
「何言ってんの？治療が先ね」
『うーん、じゃあ病院終わったら行こ！』
「あら？どったの、A甘えん坊？」
『……甘えるなら今かなって思って』
お腹に回した俺の手の上に、冷たくてかさついた手が重なる。
「A。来てくれてありがと」
『有剣も、俺のためにありがとう』
肩を支え2人でゆらゆらと立ち上がると、鳳仙の奴らが俺たちを待っていた。
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作者名：飽き性 | 作成日時：2022年9月30日 1時
