【wrwrd!】潮風が吹いたなら【sha】 (ページ13)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:7,640 hit

13 ページ13

.

「あー、ごめん！俺が悪かったわ！」
『え？』
きょとんとするAを他所に言葉を続ける。
「いや責めるつもりはなかってん。ただ嘘ついとんのかなあって思っただけやから」
そうだ、喧嘩や言い争いなどしている場合ではないのだ。
「Aがなんで死んだんかがわかれば、髪飾りも探せるかなって」
明るい口調で捲し立てるが、Aの顔は曇ったまま。

『違うんだ…、ごめんね、ごめん』
「え？」
急に謝りながら泣き出したA。
俺は先程とは比にならないほど焦っていた。
俺が泣かせたのではないだろうかと思ったからだ。
弱々しく泣いているAに手を伸ばしても、空間を掠めただけだった。

『私、知ってるの。知ってるのに隠してたの。本当に探してくれるなんて、思ってなくて』
「な、なんのこと？」

『髪飾りなんて、もうないと思う』

「え？」

彼女がここに長い間縛られている原因となっている髪飾り。
兄からもらった大切なものだというが、それがないとはどういうことなのか。

『私、自分で飛び降りたわけじゃなくて』
よかった、自分で命を断ったわけではなかったようだ。
しかし次の瞬間、衝撃的な言葉が俺を襲った。

『突き落とされたんだ

───お兄ちゃんに』

「…え？」

.