ꄗ*ﾟ𓈒 𓏸 ページ34
スナフキンは声の方向を見ながらゆっくり立ち上がりました。”銃口”はスナフキンの身体を追ってゆっくりと上を向きました。
「フォルシ」
名前を呼ばれると、栗髪の少年は悲しそうに眉を下げました。
「どうやって登ったのさ。……扉には鍵がかかってる」
「見ていたんじゃないのか？」
「壁の上に座るアンタたちをね。だから＿＿」
ゆらり、フォルシの姿が揺らぎます。
反応する間もなく、スナフキンの後頭部に硬いものが押し付けられました。
「飛んできたんだ。こうやって」
少女の手がじっとりと汗ばんでいることにスナフキンは気がつきました。さりげなく自分に引き寄せ、スナフキンは息をつきました。
「魔法を使えるんだな」
「いつでも好きなところにいけるんだ。見張り番には必要な力だろ。……だから、逃げられると思わないで」
「撃つのか？ 僕たちを」
スナフキンの声もすうっと冷たくなります。背後にいるフォルシの顔は見えませんが、銃口が少し震えました。
「逃げるなら。頼むよスナフキン。大人しく下に戻って」
少女は大人しく、まん丸い目でスナフキンの顔を見つめていました。冷や汗が首元を伝っています。怖がらないで、とスナフキンは口の動きだけで伝えました。
「無理な願いだよ、フォルシ。永遠にはいられない」
「いいや……」
強く風が吹き抜けます。スナフキンの帽子が宙を舞い、壁の中へと落ちていきました。
「いるんだ、永遠に」
意志のこもった声でした。「何故そんなに固執するんだい」と問いかけるのは時間稼ぎです。淡々と話すその裏では、忙しなく頭をまわして打開策を考えているのでした。
「女王陛下が寂しくないように」
「そうかい。でもね、今戻っても、僕は外に出たいままだ。きっと繰り返すよ」
「大丈夫だよ。じきに、その気持ちも忘れていく」
「なんだって？」
「……帰りたいって言うけどさ。いったいどこに？ 教えてよ。スナフキン」
「＿＿＿」
スナフキンは、頭の中でぱちんと何かが弾けるような心地がしました。
どこに？ どこに？
フォルシの声がこだまします。
「僕は……」
ぼくは。
「どこに、帰るんだ？」
？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 32人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雪野(プロフ) - ありがとうございます！投稿したら報告しますので機会があれば見ていただけると嬉しいです(●´ϖ`●) (2月6日 17時) (
レス) @page2 id: bc308af5a3 (このIDを非表示/違反報告)
匿名さん - (続き) 作者の名前とタイトルを記載していただければ、煮るなり焼くなりお好きになさってください。(僕も趣味の範疇&気の向いた時の更新ですので、雪野さんも描きたくなったらお好きなところだけ……が自然だと僕も思います！笑) (1月23日 2時) (レス) id: 3945cd8343 (このIDを非表示/違反報告)
匿名さん - 雪野さん» コメントありがとうございます！お返事が遅くなってしまって申し訳ありません。まだお気持ちに変わりなく、僕の拙い夢小説にそのような素敵なファンアートをつくってくださるのなら、僕はとても嬉しいです。 (1月23日 2時) (レス) id: 3945cd8343 (このIDを非表示/違反報告)
雪野(プロフ) - とっても好きすぎます… このストーリーを丸々そのまま漫画にしてpixivに上げたいのですが良いでしょうか？ 趣味の範疇なので途中までかもしれませんが... (1月12日 16時) (レス) id: bc308af5a3 (このIDを非表示/違反報告)
匿名さん(プロフ) - marimo03250226さん» コメントありがとうございます！夢主だけじゃなく雰囲気もふわふわさせていけたらなと書いています(*´`*)笑 応援とっても嬉しいです！のんびりお付き合いくださると幸いです (11月28日 23時) (レス) id: 3945cd8343 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：匿名さん(情緒不安定) | 作成日時：2023年1月30日 2時
