”愛して欲しい”は嘘じゃない。 (ページ9)

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「居場所がほしい」

愛して欲しい。

幻想を口にしても仕方ない。だからせめて叶いそうなことだけでも。

「ずっと独りだった。雄英に行ってもなにも変わらなかった。」

きらびやかなヒーロー社会。

実力主義とはいえど、それはある一定の力の人にしか言えない。

そう、例えるならば

「強すぎる力は求めてもらえない。憧れてもらえない」

爆豪、だっけ。

あの人は強かった。威圧感もヴィラン並にあって、何よりも勝ち気のある、負けず嫌いな人だ。

でもあの人の力は強すぎはしない。

触れて即死になるような、そんな命に関わる個性を抱えてなんかいない。

あの人に、あの人達に、私の力はわかるわけない。

そう安々とわかった気になられてたまるか。

「認めて欲しい。私はここにいていいって、いつか言って欲しい」

心の底からの本心だ。

これは、嘘じゃないはずなんだ。

「ああそう」

そういって口を開いたのは手の人、もとい死柄木さん。

「お前はここにいて良い。言ったぜ。次は何したい？お前はそれだけでいいのか？」

「・・・・・・・え」

「お前がいたらいけない理由がない。先生が連れてきたってことはおまえには何らかの勝ちがあるってことだ。連れられてきた時点でどちらかというとお前はここにいなきゃいけない。出ていかせられるわけもない。」

出ていきたいって泣き喚いてたらお前死んでただろうな、とあっさりといって死柄木さんは笑った。

他の人も何も言わない。

「・・・探します。他にしたいことも求めることもありません」

愛して欲しい。

そんなこと、思ってるなんて言えるわけない。

重ねた嘘がバレないように、取り繕った笑顔で笑った。