理由なんて ページ14
「結子っ」
ぐいっと肩を引かれて振り向く。
いつのまにか淡くぼやけた視界に、緋色の瞳がはっきりと写り込む。
「しがらき、さん・・・?」
思いの外声が震えていたのに驚いたのか、少し表情が曇る。
優しくなんてしないでよ。
貴方のことを疑っちゃうから。
嘘でも優しさなんて私は与えられてこなかったから
貴方から離れられなくなっちゃうから。
「帰るぞ」
ぐいぐいと引かれる腕とは裏腹に私の足は動かない。
「なんで」
「は?」
「なんで、そんなに優しいの?」
「あ?」
「私のこと信じてないんでしょ!?個性だって私が雄英生かどうかだって分かんないのに!」
馬鹿みたいに視界が曇る。
ぽろぽろと涙が伝っていく。
なんでそんなに貴方が哀しそうな顔をするの?
出会ってまだ数時間しか経ってないのに。
ねえ、お願いだから
優しくなんてしないでよ。
それが嘘だったとき、”本当は分かってた”って自分に嘘つくのが辛いから。
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わんだほーい! - はつ (8月3日 3時) (レス) @page6 id: 387c9e438b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:心愛 | 作成日時:2023年8月1日 19時