”愛して欲しい”は嘘じゃない。 (ページ13)

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「どうでもいいんです」

「あ？」

この人、なんだかんだきれいな顔してるよね。

イケメンっていうか、綺麗系？なお顔。

そんなお顔が不服そうに潜められている。

「興味がないんです。多分、あんまり自分に興味がないんです」

「・・・・」

汚いものを吐き出すような気分だった。

見られて気持ちのいいものじゃない。出来れば見てほしくない。だから隠してきた。

なるべくバレないように、気づかれないように、隠して誤魔化して嘘をついてきたんだ。

「私のこと、多分信じないほうが良いです」

「はぁ？」

何いってんだこいつみたいな顔してる。

わかるよ、急にこんな事言われたら困るよね。

だから私のことなんて、信じないで。

私に、離れさせて。

間違えちゃうから。

出来るだけにっこり笑って見せる。

「私のこと信じても、死柄木さんきっと幸せにならないですよ」

「そんなのわかんねぇだろ」

「分かってるんです」

貴方は”あの人”とは違う。

きっと今までいた周りの人とも違う。

だから嫌なの。

あたたかいこの環境を知ったら、出られなくなっちゃうでしょ？

「私の個性は誰も幸せにしない」

信用の元じゃなくたって、受け入れようとしてくれたのは貴方たちだけ。

「嬉しかったです。ここにいていい、なんて言ってもらえたのは初めてだったから」

逃げて良い、そういうなら逃げさせてもらおう。

「ありがとうございました」

きっちり頭を下げて、どこともしらない道を真っすぐ歩いた。

もう、帰る場所はない。

もう、傷つける人もいない。

飛び降りようとしたのがずっと昔のことみたい。

「・・・・ばかだなぁ」

あの人は、きっととんでもなく優しい人なんだ。

こんな私にここにいていいって言ってくれたから。

居場所がほしい。

わたしはそんなこと、願っちゃいけない。

私は不幸を運ぶから。