”愛して欲しい”は嘘じゃない。 (ページ12)

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がちゃんと背後で閉まる扉。

いつの間にか外は真っ暗だった。

月がぽっかり上がって、いつもならこんなふうに外にいられるわけのない時間。

風が刺すように冷たい。

淡々と歩く後ろについていく。

沈黙が耐えられない。

「・・・あの」

口から出たのは我ながら予想だにしない言葉だった。

「聞かないんですか？」

「何を」

振り返る様子もなく興味なさげにあるき続ける背中を追う。

「私の、個性とか、他のこととか。信じるんですか？」

「信じてない」

「なんで信じられる・・・って、え？」

思わず足がピタリと止まった。

そんな私を気にもとめずにすたすたと目の前の人は歩いていく。

「信じてない。信用できるわけ無いだろ、どこの誰かも知らねえやつのこと」

「じゃあなんで・・・」

「だから連れ出してる」

「え？」

足音がやんだと思ったら大きなため息が聞こえた。

「先生がお前を連れてきた。でもお前、ここがなんだか知らずに来ただろ」

「・・はい」

「嫌だったら逃げて良い。寧ろ逃げろ」

「はい？」

この人、私のこと受け入れてくれてるのかそうじゃないのかが全然わかんない。

「お前がここにいるのは問題ない。裏切るなら生きて帰ってもらう訳にはいかない。
でもお前、死にたくないだろ？」

死にたくない＿そう答えられなかった。

「・・・・わかりません」

「あ？」

「わかんないんです」

もし私がオールマイトみたいな力を持っていたら。

例えば超パワーみたいな。

例えば炎系みたいな。

例えば電気系みたいな。

そんな気軽に生きていける力を持っていたら。

わたしはどんなに幸せに生きていけただろう。