ハロー、マイヒーロー 2 (ページ5)

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【Kiwi】手遅れだよページ5

「ねえ、どうして今日は居酒屋なの？」

「んー、なんとなく、かな」

「ふうん、」

いつだって馬鹿で、阿保で、最高なAが、こんなふうに塞ぎ込むのは初めてだ。
それだけこの間の一件は重大な出来事で、正直、あれから楽屋の雰囲気はあまり良くない。

いつもならお洒落なバーやイタリアンで優雅に食事をする俺たちだけれど、あえて選んだのは路地裏にある焼き鳥屋。

「A、何にする？」

「とりあえずお酒、」

「今日はなんでも食べていいけど、お酒はダメ」

「...」

「、先に話、しようか」

Aだって、気づいているはずだ。
わざわざ居酒屋の個室にした理由も、ふっかや佐久間じゃなくて俺がいまここにいる理由も。

この間の騒動を客観的に見れていたのは、正直俺だけだったと思う。
感情を制御できていなかった照も、声を荒げた翔太と、部屋を飛び出した佐久間も論外。放心状態のふっかと、目を逸らした阿部も、普通じゃなかった。

「みんなの反応見て、それでもAの意思は変わらない？」

「、いつもそうだよね。みんな、私を買いかぶりすぎだよ」

「どうして？」

「私、器用にできたことなんて1度も無いよ。みんなのいないところで必死に頑張って、やっとみんなの足元に立てるくらい。ライブだって酸素当ててもらわないと出来ないし、アクロバットだって得意じゃない」

「、」

「女ってだけで、こんなに違うんだね。私、なんでジャニーズなのってたくさん聞かれるよ。当たり前、そんなの私だけなんだもん」

今まで、Aが密かに女の部分を隠してステージに上がっていることは知っていた。
ステージ衣装が、スカートからパンツに変更になったときには、Aがお願いしたんだろうなって気づいた。

全部知っていたつもりで、でもAの為を思って知らないふりをしていた。