ハロー、マイヒーロー 2 (ページ25)

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目を閉じても星は消えないページ25

「聞いた？Aちゃん、最近体調崩してるねんて」

「Aが？」

舘さんと康二の会話が、ガヤガヤとうるさい稽古場の中で妙に耳に残った。
へぇ、そうなんだ。ちょっと心配。
周りにいたメンバーもふと康二の方を見るから、気づいた本人は「みんな見るやーん」って笑って、さらに続ける。

「Aちゃんの担当さんが言ってたらしいで」

「スケジュール的に忙しいとかあったっけ？」

「最近はひとり休まずだからなぁ」

「撮影が結構過酷やねんて」

「ドラマ？」

「そうそう。ヒューマンサスペンス、撮影現場がもう悲惨のなんのって言うてたわ」

なるほどなぁ。
なんとなく、心がついて行ってないのか。
AらしいっちゃあAらしい。

今まで舞台では病気の役とか、Jr.時代には殺される役とか、ちょっとぶっ飛んだサイコパスの役とかもしてきていたけれど、当時スケジュールが空白だらけの俺たちはAに頻繁に会える状況だったり、周りに他のJr.がいる作品だったりしたから。

「ふっか、」

「ん～...どうすっかねぇ、」

今は、俺達が主演の舞台である滝沢歌舞伎の稽古真っ只中。
Aと会えるのは、2週に1日ほどのそれスノの収録と、スケジュールが合えばラジオやら雑誌の撮影やら。でも、最近は別行動だもんなぁ。

事が起こったのは、あれから久しぶりにAと会う、ダンスレッスンのスタジオだった。

午前中に予定が無かった俺と佐久間とナベ、ラウールは先にスタジオに着いていて、照と目黒がラジオ収録、康二と舘さんと阿部が雑誌の撮影、Aは例のドラマ撮影が終わってから来る予定になっている。

ぶっちゃけ、康二の話に心配していたのはその日くらいで、連絡を取ってみればいつもの調子だし、俺も俺で稽古とか他の仕事に手いっぱいで。

ガチャ、とスタジオの重い扉が開く音がして目を向けると、担当のマネージャーとAがいた。