ハロー、マイヒーロー 2 (ページ11)

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【Kiwi】ひとりじゃないページ11

俺たちは、デビューする。

その事実はあまりにも重くて、笑うことも泣くこともできなかった。

病室で告げられた後、ふっかさんや照くん、SixTONESのジェシーくん達は、ジャニーさんをじっと見つめたり、目を瞑ったりしていた。

長かった下積み。
俺なんかがその輪に入って良いのかと一歩下がったときに、Aちゃんが病室から出ていく姿を見つけた。

その表情は、無。

滝沢くんが続いて出て行った。
どちらにせよ、今の俺じゃこの場にいるべきではないのかもしれないと思っていたから、俺はジャニーさんに大きくお辞儀をして、滝沢くんの背中を追った。

少し開いたスペース、自販機に隠れたベンチ。

「大丈夫だよ。日向も頑張ったじゃないか」

「はい、」

「喜んで良いんだよ。泣いて、良いんだよ」

「...」

背中をさすられるAちゃんに、泣いているのかと少し緊張したけれど、見えたAちゃんはやっぱり無表情で。
でも、膝に置かれた手が大きく震えているのが見えた。

「...ラウール、」

「え、...あ」

「、滝沢くん、ここにいたんだ」

後ろから肩を叩かれて、さっきまで病室にいたふっかさんが俺の隣に並ぶ。
目は優しくAちゃんを見ながら、ポツリと話し出した。

「ずっと気にしてたんだよね、アイツ」

「？」

「自分は女で、異端だって」

「、そっか...」

「心ないこと言われたり、自分自身がついていけなかったりした事、たくさんあったと思うんだよ」

「うん、」

「でも、ようやく実を結んだ。デビューっていう結果として返ってきた。...でも、背負うものが多すぎて、うまく飲み込めてないんだよな」

「...うん、」

ふっかさんは、いつも優しい目でAちゃんを見る。
遠いところから、優しい温かい目で見守っている。

なんでも知ってる、みたいな顔をして。