ABYSS. 【BANANAFISH】 (ページ2)

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【夢主side 】

──夜明けのニューヨークの街にはライトアップされた自由の女神像とマンハッタンの摩天楼がよく映える｡

ネオンライトの届ききらない暗い街道を歩く僕の前にいる､アッシュは山猫のようなしなやかさで歩いている｡

風が少し肌寒い｡パーカーのフードを軽くかぶり､アッシュの後ろを歩く｡

アッシュの金髪の髪が揺れるのを見ながら後ろを歩く｡

──パーカーのフード越しでも耳に遠くの銃声が聞こえてきた｡

⌜ ···！！アッシュ！ ⌟

前にいたアッシュは銃声の方角に振り向き､僕達は細い路地裏に入り込む｡

パーカーのフードを深く被ったアッシュは息を潜めて様子を伺う｡

暗闇から1人の男が近づいてくる｡咄嗟に出ていこうとするとアッシュに止められる｡

ア⌜ ···待て｡ ⌟

暗闇の中でもこの男が瀕死であることは見て取れる｡地面に倒れ込む男の元へ向かった｡

？⌜ あ､あぁ···た·····助け··· ⌟

⌜ あの､···大丈夫── ⌟

軽く息を呑む｡背中が濡れている｡汗でも雨でもない､きっと銃で撃たれたのだろう｡生臭い鉄の匂いが鼻につく｡

ア⌜ ──じゃねぇな ⌟

？⌜ こ､これ··· ⌟

息も絶え絶えに男は銀色に光る何かを差し出した｡それを受け取り､訝しむ｡僕が受け取ったものをアッシュは少し腰をかがめて覗き込む｡

？⌜ ロ···ロス・アンジェルス···ウェストウッド24···バナ···え··· ⌟

最後まではよく聞き取れなかったが､男が耳にした言葉──それはよく知っているものだった｡

バナナフィッシュに､会え···?

──バナナフィッシュ｡

俺の隣に膝をつき､アッシュが驚いて男に問いかける｡

ア⌜ なんであんたがそれを···おいっ！ ⌟

男は既に亡くなっていて答えは帰ってこない｡

そのとき、⌜ こっちだ！ ⌟と焦ったような声がして2人の男が近づいてきた｡

それが､サムソンとオルガノだと言うことにすぐに気がつく｡

彼らが出てくるかもしれないことに､予感があった｡2人はアッシュと僕の配下のストリートギャングだったからだ｡

2人は僕達を見てギクリと足を止めた｡