伊吹の誓い (ページ9)

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翌日、後ろの席に吉田はいなかった。どうやら、遅れてくるらしい。昨日メッセージで〝午前中の授業のノート見せて欲しい。〟と書いてあった。私じゃなくて他の人に頼めばいいのにと思った。別にいつも話している訳ではないのでいなくても特に気にならないが、恐らく吉田を好いているであろう女子がコソコソと何かを話している。

「今日吉田くん遅れてくるんだって〜」

「早く来て欲しいなー。吉田くんいないとやる気失せるよー」

吉田は意外と人気者だ。運動はもちろんすごくできるし、勉強もそこそこできてあの容姿ときた。1部では吉田を好いてない人もいるが、そんなことが気にならないぐらい吉田と言う存在はこの学校で輝いていた。

この人気ぶりなら吉田は五股ぐらいしてそうだと思った。

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メモと共にノートを吉田の机の中に入れる。それを確認してから教室を出た。私は吉田と逆で、今日は早退だ。アキくんが迎えに来てくれるらしく、近くのコンビニで落ち合うことにした。どこで着替えようか迷った結果、学校の更衣室で着替えて学校を出た。

コンビニまで歩くと見慣れた車が見えて後部座席に乗り込んだ。

「お迎えありがとう。」

「昨日大丈夫だったか？」

「お陰様で。でも、ちょっと風邪気味かな」

「休めるときは休めよ」

アキくんが車を走らせる。姫野先輩がいないことに少し驚きつつも鞄を隣に下ろす。

「姫野先輩達は？」

「近くで待っててくれてる。」

「そっか」

外に顔を向けて景色と人を眺める。ふと、その中に気だるげな顔をして歩いている吉田が見えた気がした。

「何の悪魔が出たの？」

「コウモリの悪魔らしい。」

アキくんが煙草を吸い始める。煙草の銘柄とかはよく分からないけど、多分姫野先輩と同じ銘柄だと思う。なんだかそういうのってバディっぽくてすごくいいなって思う。私も大きくなったら、マキマさんと···同じ何かを共有したいなと思う。