伊吹の誓い (ページ11)

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「 ···猫。一応、傷口冷やしておく。」

アキくんの制服の左腕を捲って出血しているところを冷やす。生憎包帯や消毒などを持ってはいないので私に出来ることはこれくらいだ。

「ありがとう。」

アキくんの手が私の頭を優しく撫でる。左腕はやはり少し痛むようで、辛そうな顔はしていないけれど左腕を全く動かさない。狐の悪魔の代償って重いものが多くて大変そうだ。
その猫を頼んだぞ。と言われ、私は猫にそっと触れる。

「に”ぁｯ··· 」

猫が怯えるようないや、私を嫌がるような小さな悲鳴をあげた。はっ、と息を呑む。危ない。手が冷たいままだった。マキマさんにもよく気をつけてと言われるのを思い出して猫に向かって優しく手を伸ばす。

「ごめんね。もう大丈夫」

抗う様子はなく、少しずつ私に近づいた猫を優しく抱える。腕の中に抱きかかえて目的の場所へと向かった。

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「姫野先輩。猫は特に異常はありませんでしたよ。」

「そうかそうか！！ニャーコは無事じゃったか！！」

デンジと変わって元気そうなパワーを横目に見ながら姫野先輩の隣に立つ。
Aが魔人ちゃんじゃなくて猫を選ぶと思わなかった、とパワーの横でしゃがみこんでいる姫野先輩が呟く。

「私、意外と動物好きなんですよ。」

マキマさんも好きだから、と言ってポケットからスマホを取り出す。マキマさんに電話をして〝猫は無事でしたよ〟と告げ、マキマさんの返事を聞いた後に切る。