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その日の夕食の後だった。
「「あ」」
考えていた事は一緒だったようだ。
青「...今いい？」
久「俺も、そっち行こう思ってた」
2人で落ち着いて話せる場所...を探すけど中々ない。
翼の部屋には高野さんがいるし、私の部屋は散らかっていて人を入れるのが憚られる(いくら翼でも)
久「...外、行くか」
青「...というわけで、過剰な取材を控えるように協会から注意してもらえるみたい」
久「まさか桃さんが来てたとは」
青「本当びっくりだよね。
てかJTに移籍って、連絡くらいしろよってね」
久「...そっか」
少しだけ、翼は嬉しそうに笑ってるように見えた。
一通り話して、なんだかホッとした。それと同時に、
青「これで...」
呟こうとした瞬間、くしゃみが出た。
身体がぶるりと震える。
10月の夜風は、じんわり纏わり付くように冷たい。
久「あー、ほらもう」
翼は着ていたジャージを脱いで、
久「羽織っとけ」
私の肩に掛けて歩き出した。
久「...本当にこれで良かったんか、とか思ってんねやろ？」
怪我をしたあの日から、今日まで。
自分の言動は全て正しかったのか、そんな事を考えてしまう。
お見通しだった。
久「俺だって...
Aをバレーに引き戻したけど、コートからお前の顔を見ると、正しかったか分からんかった」
そんな事を言う翼が、どんな表情をしてるのか気になって隣に並んだ。
一瞬、何かの拍子で手が触れた。
久「何が正しくて、間違ってたとか...
ごめん。俺にははっきりと言えへん。
あの頃、お前も俺も、いっぱいいっぱいやったし」
気づいた時には、手がとられていて。
力強く握られる。
久「お前は影でただ静かに役目に徹してた。
そんな所も充分尊敬してた。
でも...
これからは自分の世界を狭めんでほしい」
そう言って、手が解かれた。
私達のすぐ横の車道を車が走り、
ヘッドライトに照らされて、
翼の表情が浮かび上がった。
青「...ぁ」
ずっと見てきた横顔が、大人になった事はとうに知っている。
だけど、
こんなに優しく、そして苦しそうな顔をするなんて知らない。
誰かに羨望され、期待され、必要とされる。
そんな中で、私は、ただバレーを好きでいるだけで良かった。
でも、バレーが出来なくなって、
全部が無くなった気がした。
もうこれ以上失わないように
私は、勝手に
燻って沈んで、逃げた。
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Wing(プロフ) - とっても面白くて大好きな作品です!何回も読んでしまいます。 (6月24日 10時) (
レス) @page25 id: 8c6a1b2baa (このIDを非表示/違反報告)
サナ(プロフ) - 一気読みしちゃいました！大っっ好きです！！！！ (2022年12月8日 23時) (レス) @page25 id: 922dba79c8 (このIDを非表示/違反報告)
水無瀬 - この作品好きすぎてリピ3回してます！続きが楽しみです！お忙しいと思いますが、続き、待っています！ (2022年5月22日 17時) (レス) @page25 id: 241a9407b0 (このIDを非表示/違反報告)
EＹ - 更新頑張ってください！まってます！ (2022年2月13日 20時) (レス) @page25 id: 35d44de055 (このIDを非表示/違反報告)
mafumafu3017(プロフ) - 更新ありがとうございます！久原くんと石川くんが可愛すぎて！ほんとありがとうございます！ (2022年1月3日 12時) (レス) @page21 id: 929ea4516c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：松野 | 作成日時：2020年6月5日 0時
