女神が鉄仮面を外さない3

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藤井さんに向かって笑った。


青「大丈夫ですよ。
藤井さんは、素晴らしい選手です」

藤「...そうやって調子に乗せてくれんのね」

青「本当の事ですから」

藤「...」


藤井さんの表情が、一瞬だけ歪んで

そして優しい笑顔に変わる。


藤「...やっぱり、俺、青ちゃんの事好きだなぁ」

青「...」

藤「でも、青ちゃんの気持ちは、俺とは違うって分かってるから」


何も言えなくなって、俯いた。

藤井さんの気持ちに応えられない事をなかなか言えなかった自覚があった。

私はずるくて、藤井さんが優しかった。


藤「青ちゃんに、素晴らしい選手だって言ってもらえるなら、俺はそれでいいよ」


「ありがとね」と藤井さんは笑った。


青「......」


「ごめんなさい」は言わなかった。藤井さんの優しさに甘えた。


青「...私こそ、藤井さんには感謝しています。最初の頃は色々上手くいかなかったけど、藤井さんが気にかけてくれたから安心して仕事が出来る様になりました」


藤「上手くいなかったのは主に祐希との関係だけどね」


青「ふっ...確かに」


二人で顔を合わせて笑った。


青「藤井さんが、昔の私を覚えていてくれて、今の私も見てくれた事、とても嬉しかったです」


ありがとうございます、と言うと、涙が溢れた。
溢れて止まらなくなって、俯いた。

藤井さんは、ただ黙って、優しく拭ってくれた。








そして迎えたエジプト戦。


"ここで途中交代の藤井のブロックぅぅぅ！！"


ここぞという場面で...！

右手を突き出して、藤井さんのドヤ顔がこちらを向いた。


青「...本当に」


素晴らしい選手だ。


藤「青ちゃんに、素晴らしい選手だって言ってもらえるなら、俺はそれでいいよ」


何度だって言おう。私は彼に自信をもらったのだから、もし彼が自信を無くしそうになった時は、私が自信をあげられるように。



まさに死闘とも言えるフルセットを制し、大会勝ち越しを決めた。


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